犬を迎えることで始まる幸せの最初の一歩をお手伝いしたい。ブリーダーワン代表 小山 絵理菜さん・監修獣医師 渡利 真也さん

ここ数年、日本でも少しずつ一般化しつつあるブリーダーから直接子犬を譲ってもらうという犬の迎え方。しかしながら多くの方にとっては「ブリーダー」という職業にはまだまだ馴染みが少なく、良いブリーダー、ひいては良い子犬を迎えるためにはどうすれば良いのかも分かりづらいのが現状でしょう。そんななか、子犬を迎えたいユーザーとブリーダーとのマッチングサイトとして成長を続けるサービスがあります。今回はそんなサービス「ブリーダーワン」を運営されている株式会社BreederONE代表の小山 絵理菜さんと、獣医師として同サービスを監修している渡利 真也さんにお話を伺いました。

【編集部】小山さんが「ブリーダーワン」を運営されている理由やきっかけを教えてください。

【小山さん】学生時代にペットショップで一目ぼれをした猫がいて、その子を迎え入れたときに感じた疑問が原体験になっています。わたしの育った家庭では昔から色々な動物と暮らしていて、当時は知人のブリーダーさんから譲っていただいていました。その頃は、当たり前のようにブリーダーさんから親犬や親猫を見せていただいていました。それに対して、大切な家族として、自分の子どものような存在として迎えたその猫が、どういう親猫から生まれてどういうところで育ち、わたしのところへやってきてくれたのかを自分が知らないということに疑問を持ったのです。同時に、ブリーダーさんにとっても、自分が大切に育てた猫が誰に届いているのか分からないのは不安じゃないのかなという疑問も持ちました。

その後、大学を卒業し、経営コンサルタントとして働いていたのですが、その経験で得たビジネス知識をペット業界に活かせないかと考えるようになりました。そこで自分なりにペット業界のことを調べてみたところ、ブリーダーさんから飼い主さんへ犬が直接引き渡される割合は約2割しかないということや、飼い主さんが見つからなかった犬が殺処分されてしまうことがあるという悲しい現実なども知りました。また、親元を離れて飼い主さんが見つかるまでに病気になる犬や、最悪の場合には死んでしまう犬が一定数いるなかで、ブリーダーさんから直接引き取って貰う人を増やすことで、そういった悲しい出来事が起こってしまう確率を少しでも減らすことができるのではないかと思いブリーダーワンというマッチングサイトを運営しています。

【編集部】渡利さんは監修獣医師として「ブリーダーワン」に関わられているとのことですが、同じくきっかけのようなものはあったのでしょうか?

【渡利さん】きっかけは、わたしが獣医師として臨床の現場に立ち、患者としてやってくる犬たちを診ていた頃のことです。そのなかに先天性疾患を抱えた子や、引き取った直後に既に栄養失調といった子が一定数いることを知り、「健康で良い犬が飼い主さんのところに届く」という、本来は当たり前のことが求められているということを感じたというのが大きいですね。

【編集部】おふたりが「ブリーダーワン」を運営するなかで大切にしていることを教えてください。

【小山さん】まずはユーザーさん、つまり将来の飼い主さんにとって安心してサービスをご利用いただけるということを中心に考えています。具体的には「カスタマーサポート」に力を入れています。一般の方から見たときに、インターネットで犬やブリーダーさんを探すということにはまだまだハードルがあります。「ブリーダーって何者?」という方がほとんどだと思います。特に最近ではマスメディアなどを通じて悪徳ブリーダーの存在も耳にするようになってきていますし…。ちなみに「ブリーダーワン」には優良なブリーダーさんにしかご参加いただいていないという自信はありますよ。

そこで、ユーザーさんの不安要素を取り除くためには、「カスタマーサポート」に力を入れることが大切だという考えに至りました。「ブリーダーワン」のようなインターネットを活用したサービスを運営しているとついつい「効率化」に走りがちだと思いますが、インターネットはあくまでも手段なので、できるところは効率化しつつもカスタマーサポートには恐らく他サービスさんよりも注力していると思います。「ブリーダーワン」をご利用されるユーザーさんにはインターネットに不慣れな方も多くいらっしゃるので、電話を受けたサポートスタッフが希望に合う子を代わりに探して差し上げることもあるくらいです(笑)。

もう一つ、やはり「獣医師監修」という点ですね。

【渡利さん】はい。「獣医師監修」についても、理由は同じくユーザーさんに安心してご利用いただきたいということに尽きます。子犬を引き取った後の1ヶ月ほどは、環境変化による不調も多く見られます。そういった子犬の健康に不安が生じたときに無料で相談に乗るというサービスを提供しています。実際にわたしが相談に乗らせていただいているのですが、特に子犬をはじめて迎えた飼い主さんは、病院に連れていくまでもないようなちょっとしたことでも不安になってしまうので、とても好評いただいている実感があります。

「獣医師監修」のもう一つの側面として、良いブリーダーを判断する目という意味もあります。ブリーダーさんにご参加いただく前に、健康管理や飼育環境管理、繁殖回数などのブリーディング方針を見極めた上でご参加いただいています。ご参加いただくブリーダーさんからは、そこまでチェックするの?と驚かれることも多いですが。

【小山さん】そういった基準を設けていても、ユーザーさんとのトラブルが発生してしまうブリーダーさんもいらっしゃいます。そういうケースでは、残念ですがブリーダーさんのアカウントを停止させていただくようにしています。

【編集部】そういったユーザー目線により、順調にサービスは成長されているそうですが、これまでに苦労されたことはどういったことですか?

【小山さん】わたし個人としては、ペット業界も初めて、自分で事業を立ち上げることも初めて、WEBサービスの立ち上げも初めてと、初めて尽くしだったので、苦労の連続です(笑)。特に大変だったのは、サービスを知っていただくことですね。渡利獣医師をはじめとして、たくさんの方々の協力を得て一番良いサービスを作れたという自負はあったのですが、誰にも使ってもらえない…という時期が続きました。チーム内で話して、ユーザーさんが犬を迎える際に必要な情報をサイト内に増やすなどの当たり前のことを当たり前にやり続けることで少しずつサイトへお越しいただくユーザーさんも増え、認知されるようになりました。

【編集部】サービスを運営していて良かったなと思うのはどんなときですか?

【小山さん】わたし自身が人とお話しすることが好きなので、カスタマーサポートのお電話に出ることも多いのですが、ユーザーさんの喜んでくださっている声を聞けるのが一番嬉しいですね。

【渡利さん】同じですね。子犬を新しく迎えた方から健康相談に乗ってしばらくしてから、すくすく育っているという声を聞けるというのは嬉しいですね。手前味噌ですが、犬を迎えることでこれから始まる幸せの最初の一歩をお手伝いできるということは仕事のやりがいです。

【編集部】これからの展望をお聞かせください。

【小山さん】まだまだ立ち上げ期ですが、将来はブリーダーさんを探すならブリーダーワンだよねという存在になっていきたいです。そして、ブリーダーさんから直接犬を迎えるということが一つの選択肢としてもっと一般的になっていけばと思います。そのためにもサービスのクオリティを上げていくことが一番ですね。

【渡利さん】もうひとつ、日本のブリーダーさんたちのレベルアップをサポートしていきたいというのもあります。最近では、獣医師目線から健康管理や飼養環境などに関するご相談に乗らせていただくことも増えてきました。ブリーディングについてだけではなく、インターネットの使い方や写真の撮り方についてのご相談に乗ることもありますけど(笑)。そういったことをひとつずつ積み重ねていって、優良なブリーダーさんが増えていき、そんなブリーダーさんから見たときに、「大切に育てた子を良い飼い主さんに届けるならブリーダーワン」という存在になっていきたいです。

【小山さん】そうですね。そうして、ユーザーさんからもブリーダーさんからも選ばれるサービスを目指していきたいです