ハリウッドが吠える。全米が湧く。アメリカンヒーロードッグを探せ!

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文:TOMOMI SHIRAI / 白井 朝美
写真:HALE DAVIS / へイル デイビス

今年で6回目を迎えたアメリカン・ヒーロードッグ・アワードが9月10日、ビバリーヒルズにあるビバリーヒルトンホテルで開催されました。

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今年のアメリカンヒーロードッグ賞はどのイヌに?!

1877年以来、全てのどうぶつと子どもたちのSAFTY/セフティー(安全)、WELFARE/ウエルフェアー(福祉)、WELL-BEING/ウェルビーイング(健康)を主とし、教育、救助、支援活動を行っているアメリカン・ヒューメインソサエティ(米人道協会)がアメリカン・ヒーロードッグ・アワードを主催しています。

同イベントでは、どうぶつ愛護の意識の向上と教育を目的としており、ルイス・ポープ・ライフ財団(THE LOIS POPE LIFE FOUNDATION, INC)の支援を得て、全米を巻き込んで盛大級に行われる一大イヌイベントとなっています。

ちなみに、ルイス・ポープ財団の代表・慈善家のルイス・ホープ氏は現在83歳ですが、ニューヨークマラソンを5度出場。5度とも完走しているバイタリティー溢れる女性であり、大のどうぶつ好き、イヌ好きとしても知られています。現在、同財団では、アメリカのパピーミル(子犬繁殖工場)をなくすための活動や戦地で戦い心身に障害をもつ退役軍人らの支援活動を精力的に行っています。

さて、約8ヶ月の月日を経て、アメリカンヒーロードッグの選出がされる経緯ですが、一般投票により、最終選考に至るというもの。

今年は、1月27日に全米から候補犬の応募がスタート、3月10日から4月27日までにセミファイナルへ進むイヌたちが一般投票によって選出。この時に約173頭の犬が選出されています。

5月11日から6月22日の期間中に、8カテゴリーに属するヒーロードッグたちが選出されます。同カテゴリーでは、ワーキングドッグ(働くイヌ)とどうぶつ愛護施設よりレスキューされ、人々の希望となり活動をしているイヌが候補にあがります。

7月6日から8月24日で一般投票は終了。9月11日に授賞式に招待を受けた審査員らの審査結果を経て、同年度のアメリカン・ヒーロードッグ賞が決定。今年の同授賞式の模様は、10月28日、米ホールマークチャンネル(Hallmark Channel)にて、夜8時に放送が予定されています。

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授賞式が行われた会場では、選ばれたイヌの写真がずら~り。

気になる受賞によるご褒美ですが、まず、8カテゴリーに選出されたそれぞれのイヌたちの支援するチャリティー団体に2500ドルが贈られます。また、アメリカンヒーロードッグの栄冠に輝いたイヌには、支援先のチャリティー団体に5000ドルの支援金が上乗せされて贈られるので、合計7500ドルの支援金を寄付する事ができるようになります。

アメリカンヒーロードッグ賞は、ただのエンターテイメントだけでは終わらないのが良いところ。イヌを称え、イヌによるイヌのためのチャリティー活動である事に徹底しています。また、イヌの存在とイヌの教えをもとにワタシたち、一人一人が社会に対して何ができるのかを問いかけ、考察し、行動を起こしましょうと問いかけものでもあるのです。

「この賞を通して、イヌの存在が私たちの生活の中にどれだけのインパクトを与えているのか、私たちとどれだけ近い関係にあるのかに気づいて頂けると思います。ヒーロードッグを一頭だけ選出しなければならない役割を与えられた審査員ですが、毎年、受賞犬の決定に苦しんでいるようですね」と米人道協会代表/CEOのロビン・ガンザート氏は語ります。

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会場内は、招待を受けたゲスト・イヌたちも姿を見せておりました。

今年の8カテゴリーからなる8頭のイヌたちは、下記の通り。

EMERGING HERO DOG/エマージングドッグ(困難を希望に変えた犬)・フーチ

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2016年のヒーロードッグの栄冠に輝いたのは、エマージングドッグのフーチ!

根元から切られた耳、骨折した尻尾、根元から抜かれた舌。脱水症状とやせ細ったフレンチマスティフのフーチ。どうぶつ愛護団体によって救出されたフーチは、食する事も飲む事もできず、目の前の飲み水やご飯が入ったボウルを引っ繰り返すばかり。そんなフーチを迎えたザックさんの過去は、アルコールとドラッグ依存症。肝臓の病いが悪化し、アルコールとドラッグを断ち切ったものの恐怖と不安に耐えられず、自殺行為を繰り返してしまいます。後にフーチと出会ったザックさんは二人三脚で困難を希望へと変えてゆくことになります。現在、ふたりは、自閉症の子どもたちや依存症で苦しむ人々の支えとなり活動しています。

MILITARY DOG /ミネタリードッグ(軍用犬)・レイカ

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2012年5月、アフガニスタンの戦地で軍用犬として戦う任務についたライカは、肩をライフル銃で撃たれ重症を負ってしまいます。損傷した肩の傷は深く、早急な治療が必要とされたレイカは、ドイツに運ばれ手術を受けることに。一命は取り留めたられたものの片足は切断。その後、名誉除隊をしたレイカですが、現在は、テキサス州で家族と共に平和な毎日を送っています。

ARSON DOG/アーソンドッグ(放火探知犬)・ジャッジ

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2011年からペンシルベニア州・アレンタウン消防署アーソンケーナイン(ARSON K9)に所属するジャッジ。その集中力と能力で数々の放火犯罪を解き明かす放火捜査官犬としても知られる存在です。また、持ち前の明るさと楽天的な性格が人気を呼び、教育犬として、各教育機関や施設で活発に活動するとともに、自閉症の子どもたちの安全な暮らしを守るためのプログラムの向上に貢献しています。

SERVICE DOG/サービスドッグ(介助犬)・ガンダー

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コロラド州のどうぶつ愛護施設にレスキューされたガンダーは、女性刑務所の服役因によるプログラムでトレーニングを受けます。後にフリーダム・サービスドッグで介助犬としてのトレーニングを修了したガンダーは、アメリカ初のミックス介助犬として認定を受けます。退役軍人でPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しむロンさんの傷を和らげていくガンダー。現在は、ロンさんと共に介助犬としての任務を胸に全米各地の各施設や病院、教育機関を訪れる旅イヌ介助犬として活躍中です。

LAW ENFORCEMENT DOG /ローエンフォースメントドッグ(警察犬)・エド

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2016年1月1日、ロサンゼルスで残虐な強盗犯罪殺人事件が発生。車を盗難し殺人を犯した容疑者の追跡にあたるケーナインポリス(K9 POLICE)エド。逃走中、家に立てこもった容疑者は、家の中にいた父親を刺し、銃で二人の子どもを撃ち怪我を負わせました。エドが家の中に入ると子どもたちに銃口を向けている容疑者の姿。容疑者の銃口が詰った瞬間、容疑者を銃から遠ざけ、子どもたちの生命を守ったエド。子どもたちは、無事救出され、一命を取りとめました。

SEARCH AND RESUCE DOG/サーチアンドレスキュードッグ(捜索救助犬)・コウブック

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捜索救助犬として実績をもつコウブッブは、メイン州に暮らす77歳の認知症と糖尿病を患った女性が行方不明になり捜索にあたる事に。家族の想いを背負ったコウブックは、森林の中を歩き、草木を掻き分け、鼻と耳、全身全霊を尽くして歩き続けます。3日間の捜索期間を経てコウブックは無事に女性を発見。救済しました。決して諦める事をしないコウブック。捜索救助犬の功績に新たなる歴史を刻みました。

GUIDE/HEARING DOG/ガイド/ヒアリングドッグ(聴導犬)・フック

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ピーターパンのキャプテンフックにちなんで名づけられたジャックラッセルとチワワミックスのフックは、聴導犬として活躍。不審者に気づき、聴覚障害をもつジョイスさんに知らせ、サクラメントのダウンタウンに走る路線電車の近づく音が聞こえず、通りを渡ろうとするジョイスさんの足を止める。ココロに傷を負った人々に寄り添い、頬に流れる涙を拭う。敏感で何事にも勇敢に立ち向かうフックの姿に誰もが癒されています。

THERAPY DOG/セラピードッグ(介助犬)・マンゴー

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車に跳ねられ下半身を損傷。下半身は麻痺し、飼育破棄をされしまったカーリンテリアのマンゴーに残された道は、安楽死。どうぶつ愛護団体の手によって新たな道を歩くことになったマンゴーは、セラピー犬として活躍することに。現在は、障害をもつ人々、障害をもつどうぶつたちの希望の星となり活動しています。下半身麻痺で歩くことが困難などうぶつ達のために“MANGO FREEDOM WHEELS/マンゴーの自由の輪”と名づけた車椅子を寄付しています。

受賞会場となったビバリーヒルトンは、毎年、ゴールデングローブ賞やグラミー賞などが開催される場所。今回は、全米が選んだヒーロードッグ8頭のイヌたちとセレブレティゲストらが赤絨毯に登場とするとあって、熱気の渦に包まれる赤絨毯となりました。

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授賞式のホストは、ハリウッドで人気のTVホスト、どうぶつ愛護家でもあるべス・スターンさん。

カメラフラッシュと騒がしい物音に、一体、何事だ?と一瞬、驚きを隠せないイヌたちではありましたが、カメラを向けてイヌにポージングを必死にお願いするパパラッチとフ~ンといった表情でナメてかかるイヌの愉快な光景にふふふっ~とニンマリしてしまうワタシ。

「皆、それぞれ、ヒーローがいると思います。あたなのイヌもあなたにとって、ヒーローでしょう」と語ってくれたのは、各カテゴリーでノミネートされたイヌたちののご家族。

人々の生き様を変え、社会を変え、私たちの暮らしの変化となるヒーロー(イヌ)たち。

THEY ARE ALWAYS BY YOUR SIDE.

きっと、あなたの側にいるはずです。

 

BE KIND TO ONE ANOTHER

GRATITUDE 感謝

KEEP SMILING

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ABOUTこの記事をかいた人

TOMOMI SHIRAI / 白井 朝美

アメリカは、ニューヨークとカリフォルニアで暮らす。金融機関勤務、ダンサー、ハリウッドパパラッチ隊、ランジェリー・スタイリスト。ペットスタイリスト&ウエルネスアドバイザーとしても活動。米動物病院でのトリミング部の立ち上げやボランティア・トリミングに携わり、セレブレティ・ペットスタイリストとしても従事。現在は、ライター&コーディネーター。朝活ラン、ダンス、ヨガとネコと相棒くんと自由を謳歌する自由人。