【寄稿】熊本地震につきまして|ペット食育協会 会長 須﨑恭彦(すさき やすひこ)

熊本県及び九州地方での地震によりお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますと共に、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

愛犬のための “ご褒美” ご飯」の再開にあたり、ペット食育協会 会長 須﨑恭彦(すさき・やすひこ)氏より寄せられたメッセージです。


◆熊本地震につきまして

まず、平成28年4月14日以降に発生した、熊本県及び九州地方でのこの度の地震により亡くなられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

また、被災者救援や災害対策に尽くされている方々、その活動を支えている関係者の方々に、敬意を表しますとともに、一日も早い復旧・復興を心から祈念いたします。

現在、被災地ではないエリアの多くの方が、「熊本のために出来ることは無いか?」と、行動されているのをSNSで拝見しております。もちろん、現地に向かうという選択肢もあり、後方支援という選択肢もあります。いずれにしても、自分のできることを精一杯やりたいものです。

◆熊本地震に関して一次情報を持ち合わせておりません

実は私は、九州エリアでは熊本にだけ行ったことがありません。ですから、熊本に住む友人・知人もおりません。 ですから私は、一次情報が入手できない立場におりますのと、現在出張中で、毎日、朝から晩まで活動しているため、正確に情報が把握できておりません。

今は博多にやって来ておりますが、地元の方々も「ネット上には不確かな情報が出回っているから気をつけなきゃ!」とおっしゃっております。この様に、実際に自分の目で見聞きした方の情報発信(一次情報)と、それを伝え聞いた情報(二次情報)、情報元が分からない情報(三次情報 例:本、雑誌、新聞、ニュースなど)では、情報の確かさに大きな差があります。

三次情報は言うに及ばず、一次情報と二次情報の間にも大きな差があります。 ですから、いざというときに一次情報にアクセス出来ることはとても重要なことです。

◆一次情報を持っていないときの注意点

一次情報をもっていないと、不確かな情報を「善意」の気持ちから二次連鎖的に拡散し、そのことが不必要な不安や恐怖を煽り、現場を混乱させることになりかねません。

実は私自身、東日本大震災のときに、募金先をシェアしたら、その直後にそこが「義援金サギ」をしていたということがわかり、慌てて記事を削除しましたが、良かれと思ってやったことが裏目になってしまったという経験があります。 ですから、私は現在、SNS等では様々な情報も出所がわからない、確認を取る時間も取れない、ということで、情報拡散は自粛させていただいております。

募金先も、自分が信じたところに募金するのみで、「ここに募金して下さい!」などとは情報発信しないようにしています。 私も、ペット食育協会を通じて、情報発信の大切さをお伝えしていますから、一次情報の大切さ、二次情報以上の弊害をよく存じ上げているつもりです。

早く復興して欲しいから、不安を拡散したくないから「余計なノイズをばらまかない」ということも、大切な協力だと思うのです。 では、いったいどこで一次情報を得たらいいのでしょうか?

◆どこで一次情報を得たらいいのか?

それは、実際に「現場」に自分で足を運んでみることです。 そして、いろいろ実際に経験してみることです。 そうすることで、情報の重みが出てきますし、理解できます。

博多に来て、実際に熊本の復旧作業に携わった方々のお話を伺いました。 その上で、現在、全力で普及活動に取り組まれている方々に、敬意を表します。 自分のできることは募金をすることぐらいなのが申し訳ないのですが、震災直後の命をつないだ後は、やはりお金だと思います。 とにかく、自分にできることを、それぞれが精一杯取り組むしかないし、それでいいと思っています。

ところで、東日本大震災のときもそうだったのですが、「自粛ムード」「不謹慎狩り」がまたSNS上で話題になっているようです。 これについては、どちらの言い分も理があると考えております。 それぞれが己の信じた道を歩めばいいと思いますが、ネット上で言い合いするのはいかがなものかと思う立場です。

では、そういう私はどうなのかというと、あなたがどう感じるかは別にして、わたしは「影響のない所に住んでいる日本人は自粛する必要なし!生活はいつも通り!」で東日本大震災のときも過ごしましたし、今回もそうさせていただいております。 もちろん、あなたが自粛したければ自粛していただいて結構です。それにとやかく申し上げるつもりはありません。ただし、逆もそうだということですし、それなりの想いがあっての「いつも通り」なのです。

◆生活はいつも通りの理由とは?

東日本震災のときに実感しましたが、被災地以外の所で生活を自粛しても、被災地には全く関係がありません。 世界中では毎日誰かが亡くなっていますが、だからといって、身内、知り合いの葬儀以外で、毎日私たちが自粛したりしないのと一緒です。

復興にはお金がかかります。 例えばあなたが募金したいとして、来月の給料から募金しようと思った時、世の中の自粛ムードのあおりを食らって、あなたが働いている会社が倒産してしまったら、募金どころか、あなたの生活が立ちゆかなくなります。 この様に、影響のない所で自粛したら、日本全体の元気が無くなるだけです。 ですから、被災地の方々を支えるためにも、自粛する必要など一切なく、むしろ経済を廻して、お金と元気を被災地に届けたいものです。

この様な理由から、自分の「今」を精一杯生きたいと思っております。 ですから、私は「通常運転」で行きます!

◆イベントはそのまま開催しよう!

しかし、ネット上を拝見すると、「●●イベントは地震のこともあり、自粛します。」という方がいらっしゃる様です。 もちろん、僕の意見を押し付けるつもりはございませんが、僕は反対です。 先ほども申し上げました通り、被災地では無いエリアの方が自粛しても、被災地には何も関係ありませんし、そんなことがあちこちで行われたら、日本の国全体が元気なくなります。

世の中にはいろいろな方がいらっしゃって、地震で不安になってる「自分の気持ち」のはけ口として誰かを攻撃している方もいらっしゃいます。そういう方は、別に被災者の為を思ってるわけでは必ずしも無いので、そんな方に配慮しても被災地のためにはなりません。

もちろん、家族や親族、知人、友人がいらっしゃって、「そんな気分にはなれない」という方もいらっしゃるかと思います。そういう方は無理はなさらなくて結構なのですが、そうで無い方は、むしろ熊本のお酒や食べ物等をガンガンに消費して、熊本の復興のために協力する方が、自粛するより断然いいと個人的に考えます。

お金が全てではありませんが、お金があれば出来ることが増えますし、壊れた家を建て替えるのにもお金が要ります。そんなお手伝いが出来る様、被災地以外の人間は、普段通りに目の前のことに目一杯取り組んで生活し、日本全体を元気にしておきたいですね。 ですから、くれぐれも、「苦しいときに笑顔で頑張ってみんなを元気づけようとしている方々」を「不謹慎だ!」などという言葉で攻撃したりしないでいただきたいのです。むしろ、同じ日本人なら「がんばってくれてありがとう!」と励ましたいものです。励まさなくても、温かく見守ってあげていただきたいと思っております。 くどい様ですが、意見、お立場が異なる方がいらっしゃることは重々承知の上で、この記事を書いております。 ご気分を害された方は、何卒ご容赦下さい。

最後に重ねまして、熊本をはじめとして、日本全国の被災地域の一日も早い復旧・復興を心から祈念いたします。

ペット食育協会 会長 須﨑恭彦(すさき やすひこ)

yasuhiko-susaki
1969年生まれ 獣医師 獣医学博士 東京農工大学農学部獣医学科卒業 岐阜大学大学院連合獣医学研究科修了 現、須崎動物病院院長(崎は『立(旧字体)』でお願いいたします。) 「薬に頼らないで体質改善」をキャッチフレーズに、薬や手術などの西洋医学以外の選択肢を探している飼い主さん向けの、栄養学と東洋医学を取り入れた食事療法を中心とした、体質改善、自然治癒力を高める動物医療を実践している。