九州・山口9県が締結していた「災害時愛護動物救護応援協定」。熊本地震で各県から動物支援も続々投入。

災害時のペット救護の難しさが改めて顕在化した熊本地震ですが、実は3年前に九州の各県及び山口県の間で被災時の動物救護に関するある協定が締結されていたのをご存知ですか?

あまりニュースにはなっていませんが、この協定により熊本地震においては被災者向けの支援のみならず、犬・猫に対する支援も各県から集まりました。

東日本大震災の教訓から締結された「九州・山口9県災害時愛護動物救護応援協定」

2013年10月に「九州・山口9県災害時愛護動物救護応援協定」が関係各県で締結されました。
この協定は東日本大震災にて動物救護のための支援や人員が不足したことを受け、同様の災害が九州・山口で発生した際に円滑な支援が行えるよう協力体制を定めたものです。

協定では物資の支援の他にもスタッフの派遣や迷子になった動物の救護活動といった支援内容が想定されていました。

  1. 職員の派遣
  2. 被災した愛護動物の餌、ケージ等の物資の提供又は貸与
  3. 被災した愛護動物の保護及び収容
  4. 被災した愛護動物の一時預かり及び譲渡
  5. その他愛護動物の救護のために必要な事項

被災した県は協定に基づき①幹事県(福岡県)に支援を要請するか②近隣の県に支援要請を行います。

①の場合、幹事県は支援内容を整理、各県に割り当てます。

各県は幹事県または被災県からの支援要請に対して支援を実施する流れになります。

応援協定に基づき各県から熊本県に支援。協調体制は着実に前進。

今回の熊本地震では各県からこの協定などに基づいた支援が行われています。

各県のホームページ等で公表されている内容は以下の通りです。(4月30日時点)

福岡県

  • ケージ 66個
  • エサ220kg
  • 移動用かご7個引渡し
  • 公衆衛生獣医師の派遣

佐賀県

  • ケージ、輸送用カゴ等(個数などは未公表)
  • 公衆衛生獣医師の派遣

大分県

  • 公衆衛生獣医師の派遣

宮崎県

  • 犬用のエサ:約280kg
  • 猫用のエサ:約130kg
  • 犬猫用ケージ:35個
  • 公衆衛生獣医師の派遣

長崎県

  • 公衆衛生獣医師の派遣

鹿児島県

  • 公衆衛生獣医師の派遣

沖縄県

  • ペットシーツ1,000枚
  • ペットフード73kg
  • 公衆衛生獣医師の派遣

山口県

獣医師の派遣については以下のスケジュールで各県が合同で実施されています。

派遣期間:平成28年4月25日(月曜日)~5月3日(火曜日)

派遣場所:熊本県内の避難施設

参照:福岡県「平成28年熊本地震被災地への公衆衛生獣医師の派遣について

今後は物資のみならず保護犬のフォローにも。協力体制の可能性はまだありそうです

「九州・山口9県災害時愛護動物救護応援協定」をはじめとする多くの支援により、熊本県では当分の間必要な被災ペット救援物資は確保できたようです(熊本県「平成28年熊本地震災害に伴う被災ペット救援物資の御礼について」)。

避難所や施設単位ではまだまだ支援物資が必要な箇所もある一方で、今後は協定に含まれている保護動物の一時預かりや譲渡など長期的な取り組みにおける協力体制が活用されうる可能性はありそうです。

協力支援体制が最大限活用されることで、ペット達の救護活動が進み、一日も早く事態が収束することを祈念するとともに、今後また起こるかもしれない災害対応の前進につながることを願います。

参考: