【インタビュー】ドッグアパレル界のトップブランド “Atelier G・G” はこうして生まれた(“Atelier G・G” 代表 新井きいち氏)

日本に小型犬ブームが訪れる少し前、2000年に産声を上げたドッグアパレルブランド「G・G MADE IN TOKYO.」。

数々の国内外の有名タレント、俳優、各界著名人のスタイリングを手がけた、スタイリスト新井きいち氏が立ち上げた「G・G MADE IN TOKYO.」は、いまや日本を代表するドッグアパレルブランドとして世界中の愛犬家達から大きな支持を集めています。

スタイリストとして第一線を走りながら、ドッグアパレルという新しい領域を開拓し、その地位を確立したブランドストーリーをお聞きしました。

 

新井さんのご経歴を教えてください

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(編集部)新井さんのご経歴を教えてください。

もともとスタイリストですね。

人間の洋服を作ったりコーディネートしたり、ミュージシャンのイメージを転換するときに相談に乗って、新しいイメージ、位置づけの洋服を一緒に創造するような仕事でした。

愛犬との出会いとは?

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(編集部)愛犬とはどういうきっかけで出会われたのですか?

大学時代は、昼飯食うお金もなかったので、よく水道でお水を飲んでお腹いっぱいにしてたんです。

そんな時、唯一、肉を食わしてくれたり、抱えきれない弁当買ってくれた先輩がいて。

日本に帰ってきて仕事をしていると、ある日突然電話がかかってきて、飯を食った時に、レストランを出したいんだと、それをプロデュースしてみないかと言われて、その時に先輩の頭文字をとって”G”という名前をもらったわけですね。

それで、この”G”というものを頭文字にレストランを展開して、レシピを考えて、内装を考えて、いろんなこと全部素人の僕にプロデュースさせてくれたんです。

当時はいろいろマスコミにも出て、評判のいいお店になったんですね。

その時に、お礼に何か買えというふうに、見たことないカードが。今考えるとそれ何でも買えるカードだったんですけど。

僕はなぜか迷わず、犬を探しに行ったんですね(笑)

それで、何軒かお店を見て歩いて、あまりピンとこなかったんですけども、G・Gくんと原宿で会った時に、何か気になったんでしょうね、じゃもうこのまま一緒に帰りたいと。

先輩のアルファベットの二番目、先輩が”G”だとしたら、二番目なので、”G・G”と2つ並べてみて。

この中にはGreatとか、Gで始まる単語って、ちょっと格好いいんだなって思いつつ、名前をつけてみましたね。なんか、普通の名前が嫌だったんですかね。

ブランド立ち上げのきっかけとは?

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(編集部)ブランドを立ち上げられたきっかけについて教えてください。

僕の姪っ子が、ハンディキャップを持って生まれてきたんです。

僕は初めての姪っ子だったので可愛いかったんですが、当時の西洋の医学では、10年しか生きないと宣告されたんです。

でも、医学というものは東洋にもあるので、東洋医学というものも信じたり、あとは医療の数年後の可能性にも賭けて。宣告されたからといって諦める人はいないんだと思うんですね。

ただ、その時にハンディキャップを持った子どもたち、その家族というところに、僕は初めてたぶん気がついたんだと思います。

いわゆる世間からいうところの華やかという芸能・出版という仕事をずっとやっていて、気がついたら、少し非日常的なところにいたわけですね。

その時に、人にもいろんな人がいるんだと。初めて自分の姪っ子を通していろんなことを考えさせられる思いが自分の中にあって。

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僕はおじさんとして、もしこの子と何かできる時に、一緒に何かできるおじさんでいたいなと。

そう思った時にたまたま同じ時期に僕は、今ブランド名になってるG・Gくんっていう犬との出会いがあったわけですよね。

最初はG・Gを通して一緒に遊んだり、ドッグセラピーなんていう言葉が出始めた頃だったんですかね。

犬に触れるとか、ちっちゃいわんこが動くと目線が動くというか。

そんなことが面白かったんですが、笑わせたいなと思った時に、犬の洋服を作ってみようと思ったのがきっかけでした。

その時に、お仕事でご一緒させていただいてる芸能人の方に、要らなくなった洋服を送っていただいて、それを僕は切ったり縫ったりして。

”なんちゃって”犬の服を作って、擬人化した犬を子どもたちの前に着せて、くすっと笑わせるようなことがものづくりのはじまりでしたね。

AtelierG・Gのこだわりとは?

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(編集部)AtelierG・Gの洋服作りにおける “こだわり” について聞かせてください。

着せづらくなってもいい、という気持ちをベースになるべく持つようにしてます。

まずは作りたいと思った洋服を考えます。

それで犬がかわいそう、というなら犬に洋服を着せなければいい。

犬に着せやすいという優しいだけの服なら簡単なものが世の中にはいっぱい溢れているので。

僕は、犬に洋服を着せるというものは、ひとつの犬とのコミュニケーションだと思っています。

「この子は洋服が嫌いなの」というのは、人間が着せなかった、人間が着せづらいという、それは飼い主の意見。

犬に触って、犬に袖を通して、犬を仰向けにして、ボタンを付けさせるっていうのは犬との会話で、これは犬はすごく安心する主従関係なわけですよね。

もともと犬って狼の血がずっと子孫から続いてきてる生き物なので、リーダーがいなければ心がどっかでぶつかってしまうんですね。

お金だけもらってる、愛の足りなかった子どもたちと同じようなことで、そうすると足りないものをイライラして人に吠えたり、大型犬だったら人に噛みついたら大事ですよね。

でもこれはストレスなわけで、本来の犬の性格ではない。これは後天的についてしまった犬の性格なんですよね。

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犬と僕らがどうやって暮らしていくかというところで、僕は洋服っていうところをチョイスしたわけですよね。

今は写真に収める時代なので、まして襟付き、袖付きなんか着た時には擬人化というか人間のように見えてしまうので、着せた僕らがカメラを構えた時に、笑うんですよね。

でもこの笑うってことが実は犬にちゃんと伝わっていて、笑ってくれたって思うので、嫌々でも、ポーズを取るわけですよね。

こんなコミュニケーションが、愛が深まるというかコミュニケーションが伝わるというか、僕はすごく嬉しい瞬間で。

必需品と言われたらとても、言葉に詰まりますけど、僕はきっかけになるひとつになればいいなと。

あとは、他社とうちがもし違うんだとしたら、僕の会社は自分が型紙を引いて、自分がデザインをして、自分がまずサンプルを作れる。

これが出来るっていう人が、世の中には数えるほどしかいなかった、というだけですかね。

AtelierG・Gのシグネチャーアイテムとは?

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(編集部)AtelierG・Gのシグネチャーアイテムは何ですか?

やっぱり、長袖のシャツですかね。

毎年形は少しづつ変えてはいるんですが、一番最初に僕が洋服を作り始めた時に、長袖のシャツなんて店頭においてもあまり動かなかったんですよね。

「これは着せづらい」「どうして後ろボタンじゃないの、前ボタンなの」「袖にどうしてボタンを付けたの」と。

そっか…って思ったんですけど、僕は僕らが着る洋服をミニチュアにしたかった。同じものを着せたかった。

でも、当時は受け入れてくれる人はすごく少なかったですね。

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僕は、売れなくてもずっと作り続けた。

このシャツがあるというブランドが、僕がやりたいブランドなんだっていうのが、なんとなく今は認知していただけたような気がします。

AtelierG・Gが描く未来とは?

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(編集部)これからの目標ややりたいことを教えてください。

海外でファッションショーをしたりとか、いろんな雑誌に掲載されたりもしたんですけど、あまり僕の中ではピンと来ずに、特別したかったことではなかったような気がします。

ただ、作ってみたいアイテムはたくさんあって、洋服だけではなくて、たまにベッド作ったりもするんです。

クローゼットを作ってみたりもしたし、そんなことをトライしながら、ものづくりっていうことが継続できたらいいなって思います。

あと、犬と共生していくうえで必要なものを、もっとたくさんのクリエイターの人、もっといろんなものとの出会いがあったらもっと楽しくなるのになあって思います。

だから僕がどうこうしたいっていうよりも、世の中で色んなものを作ってる人たちとコラボレートできたり、一緒に商品を紹介しあえれば楽しいんじゃないかなと思いますね。

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うちの商品を買う人は、もちろんうちの商品を買ってくれるし、でもテーブルもメガネも買うわけですよね。

これは3つとも違う会社なわけですけど、この3つの会社で何かを企画していくってことはすごくおもしろいことで、でも僕は犬と生活をしているから、テーブルだったらこの高さがいいとか、そんなことを一緒にものづくりができたら、壁を越えてね。

そうすると、もっと楽しいのにって思います。

 

インタビューを終えて

新井さんの言葉のひとつひとつに、いまや当たり前になったドッグアパレルというジャンルの第一人者としての徹底したこだわりと強い思いを感じとることができました。

ドッグアパレル界のトップブランドとしての歩みを続けていく「Atelier G・G」。

新井さんのつくりだす未来に、これからもきっと、私たちは心くすぐられるのでしょう。