【インタビュー】BUBBLES DOG グルーマー 丹下健一|KEYPERSON’S STORY

日本のペットマーケットで育った洗練されたドッグアパレルやグッズブランド、美容ブランドやグルーマー達が集まり、「愛犬と愛犬家とのより豊かな暮らし」の実現を目指す “Dog Fashion & Beauty Week” 。

そんな “Dog Fashion & Beauty Week” のキーパーソン達のストーリーを紡ぐインタビュー企画「KEYPERSON’S STORY」。

今回は、Dog Fashion & Beauty Week” 主宰のお一人、丹下 健一(たんげ けんいち)さんのストーリーをお聞きしました。

※インタビューの全編はこちらの動画を御覧ください。


トリマーをめざすきっかけとは?

スクリーンショット 2016-03-03 14.07.03

ドッグショーというものを二十歳くらいの時に初めて見にいきました。

そのリンクを歩いてる素敵なワイアー・フォックス・テリアを見た時に、もう置物のような銅像のような犬を見てですね、「これはすごい」と。

そこで犬に対して、同じ生きてる犬でも人間が手を加えることによって、作りこむことによって、こんなに綺麗になるのかという感動を得られまして、そこからトリマーを目指してみようかなと思いました。

株式会社ジョーカーでの経験が礎となった

スクリーンショット 2016-03-03 14.05.57

前職は、株式会社ジョーカーというペットの総合商社におりまして、その時に勉強させていただいたことが非常に大きな今の礎となっております。

もちろん犬の扱いから、扱う思い、販売、商売、すべてのことでその会社で勉強させていただいたので。

自身の考える仕事の哲学とは?

スクリーンショット 2016-03-03 14.06.31

僕の場合はですね、楽しんで仕事ができるというところが本当に一番で、思ったことが商売になる地域とかね、地域じゃないところっていうのもあるんですけども、常に自分がモチベーションを上げて楽しめる場所、楽しめる仕事、その仕事の内容。それを常に探し続けてますね。

僕のお客様で20年付き合いがあるお客様とか、最高で24年付き合いがあるお客様がいらっしゃいまして、ちっちゃかった小学生の子どもが結婚されたりとか。

「生涯顧客」ってそういう意味かなと。それだけ、お客様の家族に溶け込んでとか、そういう深いところに、家族構成までわかってしまう。

うちの店ではスタッフ全員で考えて、「犬の喜ぶこと100・飼い主の喜ぶこと100」っていうのをスタッフがいつもミーティングしてるんですね。

100の中から、どれができるかと。

ワンちゃんが喜ぶのと飼い主さんが喜ぶことっていうのはちょっと視点が違うと思ってるんですけど、よく動物病院に行くとそうですけど、入りたがらない。お店の中にだったり注射打たれるから爪切られるから、そういうのをまず無くしましょうよと。

「(犬たちは)じゃあ何したら喜ぶ?」と考えると、(例えば)おやつあげればいいんじゃないかと。ということで、「ウェルカムジャーキー」をあげています。

入ってきたら、お客さんでもお客さんじゃなくても、ワンちゃんが来たら、おやつをあげるんです。

もちろん、あげちゃいけないものもあるかもしれないので確認して、「おやつあげても大丈夫ですか」と。ここに来れば何かいいことがあるんじゃないかとね、思ってくれる。

飼い主様に対しては、価格の面とか、サービスの面だとか、もういろんなネタがいっぱいあるので、一個ずつそれをサービスとしてお客様に提供して、楽しみを共有しているということですね。

アジア人初、全米No.1グルーマーになるまで

スクリーンショット 2016-03-03 14.05.57

トリマーとしてもう21年目ですね。

独立して今5年目になるんですけども、その時にアメリカでコンテストの大きいものがあるというのを知りまして、どうせ行くんだったらチャレンジしてみたいなというので、2010に初めてチャレンジしました。2010年にチャレンジした時は、日本の大会、JKCというところの大会で、一応全国大会を勝ち抜いて、本部大会でナンバーワンを頂きました。

それの景品の副賞として、JKCで(アメリカに)行かせていただいたんです。

その時に初めてアメリカにそのコンテストを見に行きまして、それで行くんだったらエントリーしたほうが手っ取り早いでしょうと。

何も言葉もわからず、とりあえずやってみました。

そこから、なんというか快感を得て、こういうものなんだなということで、2010年から毎年、ロサンゼルス、ラスベガスと、大会を渡りつつ、チャレンジしていきました。

2013年に、僕の一番得意な犬種のミニチュアシュナウザーという、いいモデル犬をアメリカで貸してもらうことができまして。

(コンテストのために)約5ヶ月前からもう仕込みをしていかなくてはいけないんですよ。シュナウザーの場合、その場でパッと出来るものではないので。

その時に、2000人の中でナンバー2をいただいたんですね。次の年も「来年は一番取るぞ」という気合が入りまして。(その後)またまたいいモデル犬に出会いまして、ワイアー・フォックス・テリアの。その子で、ナンバーワンを取らせていただきました。一応アジア人とか日本人では初めてでした。

僕の出るクラスは、毛を抜いて仕上げる「テリア」という種類のワンちゃんを扱ってるんです。

そうすると、毛を伸ばし放題に伸ばして当日チョキチョキ切る、っていうわけではないんです。ナイフというものを使って毛を抜いて、出てくる長さを変えていくんですね。

それで、いい色を乗せて。体に張り付いたような。

(テリアは)敵と戦う、害獣と戦うために作られた犬種なんです。その犬種のスタンダードに沿って、まず基本をやらないといけない。それでいて良いところを見せて、悪いところをトリミングで隠す。それで、全てのバランスを整えるっていうところなんですね。

モデル犬に巡りあうのも、2010年から毎年まめに行ってるので、ネットワークが増えてきて知り合いに頼めるようになったり。そういうところも非常に重要になっていきますね。

自身が考える”道具”の大切さ

スクリーンショット 2016-03-03 14.10.55

道具はもう、無限にありますので。

ただですね、毎月のごとくアップデートされてます。新しい商品が出たり、新しいシャンプーが出たり新しいブラシが出たり。

使う犬によって同じものが全ていいというわけではないんですね。

このシャンプーがすごいお気に入りでした、この子には良かったけどこの子には違うほうがいいねと。

これはもうグルーマーの経験と、そのワンちゃんの個性を見ながら調整をしていかないと。それがまあ経験値となってくるんですけども。

僕はトリミングシザーももちろん7、8本揃えて、ワンちゃんによって、あとはその部位によって使い分けますけども。ナイフでいうと、20何種類かな。使い分けてます。

トリマーはこれからどうあるべきか?

スクリーンショット 2016-03-03 14.07.03

特に強い思いはね、無いんですよ(笑)トリマーがどうあるべきかとかは。

もう本当に職人なのでね、皆さん自由にやられればいいんじゃないのかなと。

僕に限ってはですね、このお店で働いてくれてるスタッフであったり、みんなが楽しく仕事ができる、犬と関わった以上、動物と関わった以上、こうあるべきだっていうのはあるんですけども、それ以上に人間関係だったり、お客様への接客だったり、あと犬への気遣いだったりね。

人間に気遣い出来ない人はワンちゃんにも気遣い出来ませんので。

「ちょっと喉が乾いてるのかな」とか「ちょっと寒いのかな」「ちょっと暑いのかな」とか。そんなのを敏感に感じ取ってあげることができれば、接客にも、トリミングにも、グルーミングにも、繋がってくるのではないかなと思います。

***

kenichi-tange-contest

アジア人初めての全米No.1グルーマーという偉業を成し遂げた丹下氏。その根底にあるのは、お客さまがいかに喜んでくれるのかという基本を忠実に守ること、そして、プロとしての技術の追求でした。

日本、アジア、そして世界へと活躍の幅を広げながらも、常に原点を大切にする丹下氏の姿勢を、その言葉のひとつひとつから感じ取ることが出来ました。

そんな丹下氏が手掛ける、 “Dog Fashion & Beauty Week” には、今から目が離せません。“Dog Fashion & Beauty Week” としての初のイベント出展となるInterpets(インターペット) 2016 では、丹下 健一さんプロデュースの「10分で可愛く変身!カリスマトリマーによるワンポイントビューティ」や、子ども達によるトリミング体験イベント「未来トリマー」といった企画が開催されます。ぜひチェックしてみてください。