【インタビュー】トリミングサロン「TAROIMO for PRIVATE」店長兼スタイリスト 冨吉 愛子|KEYPERSON’S STORY

日本のペットマーケットで育った洗練されたドッグアパレルやグッズブランド、美容ブランドやグルーマー達が集まり、「愛犬と愛犬家とのより豊かな暮らし」の実現を目指す “Dog Fashion & Beauty Week” 。

そんな “Dog Fashion & Beauty Week” のキーパーソン達のストーリーを紡ぐインタビュー企画「KEYPERSON’S STORY」。

今回は、「第6回Interpets(インターペット)~人とペットの豊かな暮らしフェア ~」で開催される「10分で可愛く変身!カリスマトリマーによるワンポイントビューティ」や子ども達によるトリミング体験イベント「未来トリマー」にもご参加されるトリミングサロン「TAROIMO for PRIVATE」店長兼スタイリスト 冨吉 愛子さんのストーリーをお聞きしました。


横浜で多くの人々に愛される超人気ドッグサロン「TAROIMO for PRIVATE」。 その店長を務め、お客様からの厚い信頼を得ているのが冨吉愛子さんです。

専門学校卒業後からずっとこのサロンで腕を磨き、数々の賞も得ている実力派トリマー。 オーナーの山本 晃子さんが「努力の量が違う、才能溢れるトリマーだ」と評価する、彼女の仕事観や将来のビジョンなどをお伺いしました。

トリマーになったキッカケ

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散歩してるワンちゃんを普通に触っちゃうくらい、幼い頃からとにかく犬が好きでした。 最初は犬に関わる仕事って獣医さんしか知らなかったんですけど、ある日、テレビ番組でトリ マーという存在を知ってからずっと「トリマーになる!」って言っていましたね。そのまま今に至るような感じです。 本当は高校は行かずに専門学校に行こうと思っていたくらい、早くトリマーになりたかった んです。さすがにそれは反対されたので高卒後、専門学校を経てトリマーになりました。学校卒業後からずっとタロイモに勤めています。

(編集部)タロイモで働こうと思ったのはなぜですか?

んー、なんででしょう(笑)。通勤は1時間くらいなので、決して近くはないです。環境もいいし、やはりオーナーが良くしてくださるからですかね。

仕事で大切にしていることは「お客様との距離を縮めること」

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(編集部)お仕事をする上で気をつけていることや大切にしていることってありますか?

ワンちゃんに優しくするというのはもちろんなんですけど、私はお客様とも距離を縮めたい なと考えています。 お客様からいろんなお話を聞くことで、家庭の環境やワンちゃんのライフスタイルがわかりますよね。 すると、トリミングしていて小さな変化があった時にどんな理由があるのかを聞きやすいんです。例えば、ワンちゃんの様子がいつもと違うなと思ってお客様に尋ねると、お家で息子 さんが就職が決まって家を出られたということがありました。 お客様の家庭での変化を伺いやすいとワンちゃんのことを知ることができるのかなって。 だからお客様とはよく話をします。長くて1時間くらい喋ってることもありますね(笑)。

持病と共存しながら働ける“居場所”

テキパキとサロン内を動き、はつらつとした笑顔の冨吉さん。彼女の口から意外な告白がありました。

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私実はもともとリウマチなんです。だから体調が悪い時は何もできないんですね。 学生時代の時に患ったのですが、爪切りすらもできなくて。正直トリマーを諦めなきゃいけ ないのかなって思った時もありました。

タロイモで働き始めてからも体調が悪い時があって、トリマーという仕事が自分の体に負担をかけているのかな…と、トリマーを続けようか気持ちが揺らぎました。 でも、オーナー(山本さん)が「ハサミをふるうだけがタロイモのスタッフじゃないよ。あ なたの居場所はあるからね。」と言ってくださり、本当にありがたいなと思います。

(編集部)山本さん、めちゃくちゃいい人じゃないですか!!

そうなんですよ(笑)。

愛犬キルアの “あだ名”

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(編集部)冨吉さんはワンちゃんを飼われているんですか?

はい、1月で8歳になるシルバーのトイプードル「キルア」がいます。男の子です。 ただ、私は呼び名を変形させるクセがありまして…今は「タタ」って名前になっています。

(編集部)タタ…?全然関係ない呼び名ですよね!?

愛情が深すぎて、どんどんあだ名になっていっちゃうんです。

(編集部)それでキルア君を呼んでて大丈夫なんですか?

キルアも喜んでいると思いますよ。最近は「タ…」だけでわかるみたいで。 「タ」と呼べば来てくれます。

(編集部)タ!?変化の最終形ですね?名前が「タ」って(笑)。

一番印象に残っているコンテストは?

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3年前のデザインカットコンテストの時に優勝したのが印象に残っています。 キルアと一緒に出たんですけど、4ヶ月ぐらい毛を伸ばしたままで出たのでもじゃもじゃでした。 仕上がりだけではなくてスピードも加点されるので、遅れをとらないよう頑張りました。

(編集部)ある程度毛を整えた状態で出すことはしないのですか?

コンテストなのでビフォーアフターの差にインパクトがあったほうがいいんですよ。

(編集部)なるほど!仕上がりとスピードとのバランスが求められるんですね。ある程度スピードも求められるから整えて出場するのはアドバンテージになる。でも、トリミングの前後での変化が大きいほうがいいから毛を伸ばしたほうがアドバンテージになる。その折り合いといいますか。

そうですね。自分の愛犬だからできる部分もありますね。毛を伸ばしても縛っておくなどのケアができるので。もしもお客様のワンちゃんをお借りして出場するのではなかなか毛を伸ばしっぱなしにするのは難しいことですよね。

それでもコンテストでは2番目に早く切り終えたんですよ。 だからスピード面とトリミング前後のインパクトの大きさが優勝につながったのかもしれません。

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冨吉さんにご提供いただいたビフォーアフターの写真がこちら。確かにすごいインパクトです。ちなみに、このときのキルア君のカットスタイルが「TAROIMO for PRIVATE」のロゴのモチーフになっているのだそうです。

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トリマーとしての将来の夢は?

できる限りトリマーを続けたいと思っています。何歳までかは決めていないですけど。よくオーナーと「細く長く続けられたらいいよね」って話しています。 私よく無理しちゃうタイプなので、オーナーに「無理しないで」と言われることもありますね。 無理がたたって体を壊して早期引退…というのはやっぱり嫌なので、ペースを守って体をいたわりながらやっていきたいですね。

女性は結婚や出産を機にトリマーを辞めちゃう方が多いんですよ。私の同じ学校の友人は、 ほとんどの人がトリマーを辞めてしまいました。私は節目を迎えてもトリマーを続けていきたいなと思っています。

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病気にも負けず、仕事に集中し、常に技術を磨き続けるストイックさが印象的な冨吉さん。 インタビューで控えめにはにかみながら語る彼女と、お客様と楽しそうに語り合う彼女を見ていて、背伸びをしない謙虚さと向上心、お客様を思う真心が伝わってきます。

一歩一歩着実に歩みを進めていく背中からは、華やかさとはまた一味違った「カリスマ性」を感じるのでした。