【インタビュー】“Dog Fashion & Beauty Week” 主宰・株式会社Asobo Labo代表 三神 大(みかみ だい)|KEYPERSON’S STORY

日本のペットマーケットで育った洗練されたドッグアパレルやグッズブランド、美容ブランドやグルーマー達が集まり、「愛犬と愛犬家とのより豊かな暮らし」の実現を目指す “Dog Fashion & Beauty Week” 。

そんな “Dog Fashion & Beauty Week” のキーパーソン達のストーリーを紡ぐインタビュー企画「KEYPERSON’S STORY」。

第1回目の今回はDog Fashion & Beauty Week” 主宰・株式会社Asobo Labo代表 三神 大(みかみ だい)さんのストーリーをお聞きしました。

※インタビューの全編はこちらの動画を御覧ください。


 

ペット業界を目指すきっかけとなった、少年時代

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ペット業界を目指したのは小学生の頃からで、小学生の1年生2年生の頃から庭を与えられてたので、そこで昆虫類や亀や犬たちを飼育するところから始まりました。

休みの日とかペットショップに遊びにいくのが趣味で、その頃に将来ペットショップやりたいなと思ってて。

あとペットショップで、生き物たちが販売されてるんですけども、なんかその姿がちょっとかわいそうだなとか思っていました。

生き物を販売するんだったら、その生き物の幸せがどんなのかというのもちゃんと表現したいなと。

「僕だったらこうする」みたいなペットショップ像がぼんやりとあって、小学校の頃から目指したんです。

一歩目を踏み出したのは”トリマー”だった

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ペットショップのかたたちに、「どうしたら(ペットショップの店員に)なれるの?」と聞きに行くと、「ドッグフードとか種類が豊富にあるし、トリミングとかもあるんだよ」と教わりました。

それと、「ワンちゃんと人って結構行動するから、身に付けるものとかいろんな商品があるんだよ」ということを教えられて。

僕も犬が好きだったし、どんな動物でも大好きだったので、確かに犬っていうのを考えるのはいいかなと思って、勧められたのがトリマーでした。

「トリマーだと、ひとつの手に職を持つっていう意味では、それだけで飯食っていく奴もいるんだよ」ということで、「なるほど」と思いました。

(はじめは)トリマーを目指したわけではなかったんですけども、まずはトリマーというものを経験したほうがいいんだということで、その学校に行きました。

東急ハンズで培われた、プロとしての確かな経験

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最初に僕が就職したのは東急ハンズです。

実はその頃には、お店をやるとしたら、という構想がだんだんと練り上がってて、企業ってどうやって経営してるんだろうということで、いろんな小売店を中心に企業の勉強をしてたんですけども、その中で東急ハンズっていうのがすごく面白いなと。

東急ハンズでは、今はちょっと変わったかもしれないんですけども、当時は仕入れをする人が直接販売をするという「仕入販売員」という制度を採っていました。

これは、その商品やカテゴリーのプロが直接生産者とかメーカーに出向いて、どういったものが本当にいいかを、プロの知識をもって、さらに生産者の考えをしっかり聴いて、それを取り入れる。

販売をする時に、一定以上の情報がほしいお客様が来られるので、一定のご説明はしたうえで、更にこれだといいよというものをプロがお客様にご説明をして販売する。

この仕組みが、僕が一番目指すものだなと。

僕はプロを目指してたので、プロが一定の知識や情報を持って、更に生産者の「これが犬にとっていい」というものを一生懸命作ってるわけなので、それを得て飼い主様にお伝えしながら販売をする。

僕が目指すペットショップ像って絶対こうじゃなきゃ、飼い主さん達の情報として「困ったな」というところに、助けてあげられないだろうと思ったので、東急ハンズというのはすごいいいなと思いまして。

大阪に東急ハンズが経営する直営のペットショップがあったんですね。全国の東急ハンズの中でもこの1店舗だけだったので、東急ハンズで、ペットのショップがあって、自分が仕入販売員になれるんだったらもう、これ以上のいい職場はないなというので目指して、無事そこに入社することができました。

接客とかも独特のお客様へのお声掛けをして、持ってる知識はしっかりとお客様にお伝えしながら、ワンちゃん、ネコちゃん、それから実は小動物とか、アクアリウムとか、ペットオールジャンルを扱ってたんですけども。

僕は幸い、小学校の頃から犬猫以外のことも一生懸命勉強してきてたので、魚のことでも、鳥のことでも、爬虫類でも昆虫でも、何聞かれても「それだったらこれがいいよ」とご説明ができた。

そういうところで、売り場での接客販売というのが、すごく結果が出たので、仕入・販売を主に仕事としてやらせてもらえたっていうのが、最初の仕事としての経験ですね。

顧客の声から見えてきた、「犬と人との豊かな生活」のかたち

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東急ハンズ時代に接客してたお客様との会話とかアドバイスをいろいろ頂く中で、小さい頃の夢、「ペットショップを経営したい」というのが、「犬と一緒に、もっと豊かに」というものを将来的に目指そうと変わってきたんですね。

そして、実際お店をやろう、コンセプトとしては、「人と犬が一緒に楽しめる」という豊かな文化を表現できるお店を作ろうというので、犬と入れるレストランとドッグラン、それからトリミングサロンと世界のドッググッズを取り揃えるお店を24歳の時に立ち上げて。

そういうスタイルのお店っていうと日本でも初めてのお店だったので、犬と入れるレストランとかドッグランっていうのが世に無いような状態で、結構不思議がられましたけども。

オープンして最初の頃は本当に結構ひどいもんで、なかなか繁盛もしないですし。

犬と入れるっていうのだけが一人歩きしちゃった時には、庭に繋いでる全然手入れしてない、ずっと吠えてる柴犬とか一緒に男性が連れて来て、「犬と入っていいんでしょ」って言われたんですね。

犬と入っていいんですけども、犬と一緒に行動して「本当に楽しい」って思ってもらえるようなお父さんとワンちゃんであったら入ってほしいですし、一定のしつけ・マナーを守る。これも必要なんです。

更に言うと、お手入れ。こちらはレストランですので、エチケット、マナーとして。「お父さんちゃんとした格好してますよね、ワンちゃんもちゃんとお手入れしてあげてもらえますか。お父さんとワンちゃんが本当にいつも仲良く、お父さんが出かけるときには一緒に来たいんだという関係。これが築けたらぜひ、ご来店いただきたいです」というので、お断りするケースさえあったんです。

初めてのスタイルのお店なので、自分がルールでいいやと。スタンダードが僕で、次どんどん出来てくる店はこの店を真似て、もっと進化するっていうことでいいやと。

結局お店には、ドレスコードじゃないですけども、入り口に「入店規約」を作りました。

入っていただけるお客様と、”ごめんなさいお断りします”というお客様を入り口で判断して、入っていただける、そうでないというのを決めるようになりました。

それは、このスタイルのお店が、犬と飼い主さんとの今までの暮らしよりもちょっとレベルアップしたものを体験したいという方がターゲットになるので、(これを)文化にしていく限りは、犬を連れて入るお店として、来たお客様に「楽しい、充実した一日だった」「犬と過ごして、本当に良かった」と本当に満足していただかない限り、「事故や問題がたくさんある」「不愉快だ」そういう思いをしてそのお店で過ごしてもらうお客様ばかりだと、文化には絶対ならないだろうと思いました。

犬との豊かなくらしを文化にするため、新たな挑戦がはじまる

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そういったお店のプロデュースを何十軒と携わらせていただいて。

その時に結構困ったことというか、難しいなと思ったのが、商品が実際世に出回ってるものって、この会社が立ち上がった十年前には、ペットグッズの市場がどんどん膨らんでいってるような状況がありまして、本当に犬目線で体にやさしいもの、犬や猫が本当に欲しい食べたい、健康になる前向きなものというのが、本当に少ないなと。

「コンセプトはいいんだけどものが揃わないよね」というようなことがあって。

今の会社の一つの主軸になってるんですけども、いいものをつくろう、もしくは、つくる体制があるわけではないので取り揃えよう。それは日本全国、海外に出るといろいろあるんじゃないかということで、遡ると東急ハンズに勤めてた時代からバイヤーはしてましたので、日本全国から商品をバイイングする旅じゃないですけども、本当に全国を回りました。

それから、今まで培ってきた人脈の中で得られる情報から取り入れられる商品も集めました。

これをどうしたかというと、しっかりとセレクトをした状態にしました。これは生産者、経営者、ものをつくる会社の本質がなんなのかっていうのを大前提とした上です。

もちろん「ペットの健康を考えます」というスローガンがある企業はあるんですけども、「本当なのか?」というのをちゃんと確かめて。

経営者さんとか生産者、オーナーさんが本当に犬猫のことを大事に思ってたら、曲がった商品は出てこないなと。僕が一つのスタンダードで、僕のルールの中で紹介するものは絶対安全だとか、全部の経営者さんと飲みに行ってるとか。

飲んでぶっちゃけ話もして取り扱ってるとか、こんなのもいいんじゃないかと(笑)人間臭いところもちょっと見てみて、本当に臭いなという人とちゃんとやるみたいなというところは、僕らしくていいかなと。

条件とかそれだけではなく、犬たち猫たちが待ってると思ったら、一生懸命「それはどうなのちゃんとしてるの」してなかったら「してくださいよ」というのを言って、商品を買います。

もし惜しいところがあったら、「こういう風にした方がいいよ」「こうやると安全だよ」「安全なものを作ったらこれくらい売れるよ」というものをアドバイスしながら、いいものが出来るだけ世の中に出回るように、いいものが世の中のペットショップの占有率を高くしていけるように。

そういったことを考えながら商品を購入して、それを全国の地域一番店を目指すお店さんと取引して、いい商品を一生懸命集めてきてご紹介をするというビジネスを6年前に始めて、それも一つの軸としてこの会社のビジネスとして成り立ってます。

更に付け加えると、ペットショップさんがより経営上もうまくいくようにというところで、販売促進のお手伝いとか。ペットショップってマーケティングや販売促進の技をたくさん持ってるお店は少ないので、そのお手伝いをするということで。

総合的にこの会社を使って、自分のペットショップを繁盛させる技や武器やいろんなものを手に入れてもらってるというのが、今このAsoboLaboっていう会社が存在しているという形になってます。

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ペット業界を夢見た小学生の頃から、日本のペット産業の発展のため、そして、犬との豊かな暮らしを文化へと昇華させるために力を注ぎ続ける三神 大氏が主宰を務める “Dog Fashion & Beauty Week” 。

「愛犬と愛犬家とのより豊かな暮らし」の実現に向けた、 “Dog Fashion & Beauty Week” の今後の活動も楽しみです。