数ある小型犬種のなかでも「超」小型といえるほどの小さな体で愛くるしい大きな瞳を持つチワワ。日本では2000年代前半にテレビCMをきっかけとして爆発的に人気となった犬種でもあるチワワですが、現在も安定した根強い人気を誇ります。JKC(ジャパンケネルクラブ:純粋犬種の犬籍登録や血統書の発行などを行う団体)が毎年発表している日本国内での犬種別の登録頭数で見ても2位となっており、チワワの人気の高さがうかがえます。
今回はそんなチワワの子犬を家族に迎えようと考えている人や新たにチワワと暮らし始めた人に向けて、チワワの特徴やチワワと楽しく幸せに暮らす上で知っておきたいポイントをご紹介します。
■チワワの体の特徴
チワワの体の特徴としては、まずは華奢で小さな体型と、大きな瞳が上げられるでしょう。両手にすっぽりとおさまるサイズ感と愛らしい表情から、思わず守ってあげたくなる魅力を持った犬種です。
JKC(ジャパンケネルクラブ)の犬種標準(スタンダード)では、理想体重は1.5kg〜3kg(500 g~1.5 kgは許容)とされていて、体高は既定されていません。
世界最小の純血種であるチワワが、いまの体型になったのは1850年代と言われています。アメリカで小型化されたことで、より現在のチワワの体型に近くなっていきました。ちなみに、チワワという犬種は、その起源がはっきりとわかっていない犬種でもあります。一説には、かつて中南米でテチチと呼ばれた犬がいたことや、スペイン人がメキシコに持ち込んだのがルーツとする説など諸説あるそうです。
チワワの毛質は2種類
チワワはその毛質により大きく2種類に分けられます。柔らかく長い毛を持つロングコートチワワ(ロングヘアードチワワ)と、なめらかで短い毛を持つスムースチワワ(スムースコートチワワ、スムースヘアードチワワ)の2つの種類のチワワがいて、それぞれに人気が高い犬種です。
チワワの毛色のバリエーション
チワワの体毛には様々なカラーのバリエーションがあります。犬種クラブにおいても、猟犬などの職業犬と違い、愛玩犬であるチワワは毛色を限定されることもありませんでした。
単色だけでも、一般的なブラックやレッド、チョコやフォーン、ホワイトやクリームといった薄めの色、ブルーなどのレアカラーと呼ばれるチワワまで、毛色のバリエーションはとても豊富です。また、2色の組み合わせのトイカラー、3色以上のパーティカラーを持つチワワ、全身にまだらの差し色が入ったブリンドルのチワワもいて、そのような個性的なチワワも高い人気となっています。
また、両目の上にタンマーキングという眉のようなマークが入ったチワワ、特にチョコタンやブラックタンのチワワも人気です。
■チワワの性格
チワワの性格は千差万別で個性豊かと言われていますが、総じて非常に愛情深く、飼い主に対してはよくなつきます。甘え上手な一面もあり、チワワを飼った人にしかわからないチワワの魅力だという飼い主の方も多いようです。また、好奇心も旺盛なので、見た目によらないアグレッシブさもチワワの魅力の一つです。
一方で、見た目からも想像出来る通り、神経質で臆病な性格であることが多いのもチワワの性格の特徴です。気弱にブルブルと震えているチワワだけではなく、大型犬に対して臆することなく向かって行くような大胆なチワワも、実は臆病な面の表れということもあります。吠えることで自分を大きく見せようとしているのかもしれません。
■チワワの迎え方
他の犬種と同様、しっかりとした心構えをしてから迎えるようにしてあげましょう。最低限の知識と、命あるものということを再認識することも大切です。
人気犬種であるチワワは、おそらくほとんどのペットショップで出会うことができ、多くのブリーダーも存在します。価格の相場は20万円前後というのが一般的なようです。また、何かしらの理由で飼い主を失った保護犬と里親とのマッチングを行う保護団体やWEBサイトを通じて迎えるという方法もあります。いずれのケースにおいても、信頼できるペットショップやブリーダー、保護団体やWEBサイトを見極めた上で愛犬を迎えましょう。
チワワがやってくる前の環境づくり
チワワと暮らしていくために必要なものを用意し、安全な環境を作り、名前を決めます。ご家庭にお子様がいる場合には、子犬にしてはいけないことや基本的な接し方を教えておきましょう。
また、鳴き声で迷惑をかけてしまうこともあるかもしれないので、近所の方々へも犬を飼うことと、しつけを心がけることを予め伝えておけば、トラブル防止にも繋がります。
■チワワの しつけ のポイント
チワワとの楽しい生活を送るためには、いくつかポイントがあります。チワワは飼い主に対してとても愛情深く接する犬種ですが、子犬のときにしっかりとしつけることが大切です。他の犬種と比べて、やや噛みぐせが目立つ傾向があるので、飼い主になるときには意識してしつけてあげるといいでしょう。
また、チワワは体が小さいため、飼い主が抱っこしていることが多く、いわゆる抱き犬にしていることが多いと言われています。小さいながらもそこは犬ですので、過剰に甘やかさず子犬の頃からしっかりとしつけをするように心がけましょう。
チワワは頭もよく、自己主張するという気の強い一面を持っているため、飼い主が甘やかすことによって吠えたり噛み癖がついてしまったりなど、後々の問題行動につながる場合もあります。子犬期での社会化に気を配り、小さい頃からしつけをうまくすることができれば、飼い主に愛情深く接してくれるでしょう。
■チワワの飼い方
寒さが苦手、頭部の衝撃に要注意
チワワは寒さに弱い犬種でもあるので、冬場の寒さ対策には工夫が必要です。そして、頭部の衝撃には特に弱いという特徴があるので、不注意で事故をおこす事がないよう、日頃から注意をしてあげることも大切です。
スムースとロングコートそれぞれに合った毛のメンテナンスを
チワワの毛は短いスムースであれば、ラバーブラシをかけ、その後にタオルでふいてあげること、長いロングコートであれば、できるだけこまめにブラッシングとコーミングをしてあげて被毛が絡まったりしないように心がけてあげましょう。
秋冬2回の換毛期には、1日2回ほどブラッシングして毛をすいてあげましょう。特にロングコートチワワの場合、残った抜け毛が皮膚トラブルや毛玉の原因になりやすくなります。
また、普段から2週間に1度くらいを目安にシャンプーをしてあげて、1カ月に1度くらいを目安に定期的にプロのトリマーに見てもらうことをおすすめします。皮膚の異常などを早期に発見できるということにもつながるからです。
■チワワとのお散歩
チワワをはじめ、犬達にとってご家族と一緒に出かけるお散歩は大きな楽しみのひとつです。チワワのような超小型犬種には室内の運動で十分という声もありますが、お散歩に出かけることで、犬好きの人に声をかけられたり他の犬と接することを通じて社会性を身につけたり、お散歩によって気分転換をし、ストレスを発散することができます。出来れば毎日朝夕のお散歩に出かけてあげることが理想ですが、都合によって難しいときには、週末に時間を作って公園などに連れて行き、思いっきり遊んであげるなどの工夫をしてあげましょう。
お散歩タイムはトイレタイム?
お散歩中に電柱や植え込みにオシッコをしている犬の姿はよく見かける光景です。飼い主さんのなかには、お散歩タイムをトイレタイムと位置付けている方も多いのかもしれません。しかし、電柱も植え込みも公共のものや他の人のものです。そこにオシッコをかけるというのはお行儀の良いものではなく、マナー違反と言えるでしょう。オシッコの上から水をかければ良いのでは?と思われている方もいるかもしれませんが、例えばアスファルトの上では雑菌を広げてしまうだけで意味がありません(むしろ逆効果です)。また、お散歩タイム=トイレタイムにしてしまうと、雨の日も雪の日もお散歩に出かけなければならないので、飼い主さんにとっては気苦労のひとつになってしまうかもしれません。特に日本の都市部で生活する場合には、トイレは家の中の決められた場所、トイレシーツでするようにトレーニングを行ったほうが、犬にとっても覚えやすく、飼い主の皆さんにとっても結果的には楽になるでしょう。
子どもには十分注意を!
チワワとお散歩をしていると、愛犬のかわいい容姿を見た小さな子どもが愛犬に近づいてくることも多いでしょう。犬との接し方を知らない子どもが突然頭を撫でようとしてきたとしたら、それは愛犬にとっては驚異に映ってしまいます。人に噛み付いたり吠えたりしないようにしつけができていれば問題ないかもしれませんが、必ず愛犬を座らせてリードを短めに持ち、愛犬が子どもに飛びかかったりしないように気を付けましょう。もしまだしつけに自信がなければ「怖がりだから触らないでね」と優しく断ってあげましょう。
■チワワの気をつけたい病気
チワワの膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)
チワワのような小型犬によくみられる膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)。この病気は、膝のおさらが、ずれたり外れてしまう病気です。先天的に形成異常がある場合と、打撲や落下などをきっかけに骨が変形する後天性に分けられます。もしスキップのような歩き方をしている、足をかばうように歩いている、など、いつもと違う歩き方やしぐさを見せた場合は、念のため早めに獣医師にみてもらうことが良いでしょう。また、日頃からあまり膝に負担をかけないようにフローリングにカーペットをしいたりするなど工夫することも大切です。
チワワの水頭症
チワワの水頭症は、先天的に脳内が奇形でうまれてくることによる発症が多い病気です。犬全体で見た水頭症の発症確率が1.9%なのに対し、チワワが水頭症を発症する確率は3.3%。つまり約1.7倍の確率で発症するということがわかっています。 水頭症の症状としては、主に活動低下、行動異常、不全麻痺、斜視などが見られます。仮に先天性水頭症の場合、チワワの頭のてっぺんにくぼみのようなものができており、その部分を触ると穴が開いているように感じるといわれています。また、水頭症になった場合、一日中ぼーっとしていることが多くなった、歩き方がおかしくなった、などの症状がでてくるので、もしそのような場合には早めに獣医師に相談しましょう。
チワワの尿路結石症
体の中の老廃物は腎臓でろ過され、尿管を通って膀胱へ運ばれ、尿道を通っておしっことして排泄されますが、尿路結石症になると、腎臓や尿管、膀胱といった部位に結石ができ、痛みを感じたり、尿が出づらくなってしまいます。十分な水分補給が予防策としては適切なので、日頃から意識して水分補給を心がけましょう。
チワワの低血糖症
チワワが子犬のころに発症しやすいのが、低血糖症です。低血糖症は消化系の疾患で、長時間に渡り食事をしなかったり、食が細く普段の食事量が少ないことが原因で血中の糖分濃度が低下することにより、体がぐったりしたり、痙攣を起こしたりする病気です。生後3カ月ぐらいまでの赤ちゃんチワワのは特に低血糖症に気を付けましょう。あまり食べないのに活発に運動している子犬に起こりやすいので、一度にフードをあげるのではなく、回数をわけてフードを与えてあげるなど、低血糖症にならないよう気をつけてあげることが大切です。
チワワの気管虚脱
気管虚脱は、気管が押しつぶされたように変形し、空気の通り道がなくなるため、呼吸困難や体温調整が困難になる病気です。特に、トイ種(トイ・プードル、ヨークシャー・テリア、ポメラニアン、チワワ、マルチーズなど)に多く発生するといわれています。肥満体型の犬に起こりやすいと言われているので、日頃の食生活に気を配ってあげることが大切です。
チワワの角膜炎
チワワの特徴である、くりっとした大きな瞳。横から見るとわかりますが、外に突き出しているため、外傷による角膜炎を起こしやすい犬種です。目を閉じていたりまばたきの回数が多くなる、光を眩しがるなどといった行動が見られたら早めに獣医師に相談しましょう。
■まとめ
根強い人気を誇るチワワには、そのかわいらしい見た目だけでなく、飼い主と生活すると見せる愛らしいしぐさや表情も魅力です。体が小さい分、しっかりとケアするべきことも多いチワワですが、初めて犬を飼うという方でもおすすめされている犬種です。
チワワを迎える前にしっかりとした知識を身につけて、人生のパートナーとしてともに幸せな毎日を送れるようにしてくださいね。