犬たちもパスポートを持って海外旅行![Sponsored by Volvo Car Japan]

世界有数の福祉国家として名高く、犬をはじめとする動物に対する福祉でも世界最高水準の国のひとつである北欧スウェーデン。この国で誕生し、現在に至るまで一貫して安全かつ丈夫な車を作り続けている「VOLVO(ボルボ)」の協賛により、スウェーデンにおける人と犬、そして車との関わり合いについて、フォト・レポートをお届けします。レポーターは、スウェーデン在住22年のドッグ・ジャーナリストであり、連載「北欧、犬暮らし」でもお馴染みの藤田りか子さんです。バックナンバーはこちらから。


文と写真:藤田りか子

陸続きのヨーロッパならでは!気軽に車で海外旅行!

ヨーロッパに住んでいると、国同士がどこもかしこもほとんど陸続きゆえに、外国というのは日本で感じるほど遠い存在ではない。それだけに愛犬連れ海外旅行も車さえあればカジュアルに実行できる。

ここ数年夏の長期休暇というのを取っていなかったのだが、今年は一週間たっぷりの国外ロード・トリップをすることに決めた。それもこの四月に新しくやってきたラブラドール・レトリーバーのパピー、アシカを連れて、だ。ラッコにアシカ、そしてボーイフレンド。家族二人と二匹の楽しい旅行。

本当はスウェーデンからフェリーで大陸側に出てドイツに行ってもよかった。だが、実は狂犬病のワクチンを打っていないとヨーロッパ諸国内とはいえ犬を連れて行くことができない(スウェーデン国内では狂犬病予防接種は義務ではない)。さらにワクチンは最低でも渡航三週間前に打たれていること。この旅行、実は、寸前で決意したもので、本当は何も準備をしていなかった。

「じゃぁ、隣国のノルウェーってことで!」

と行き先は決まった。

私はスウェーデンの中西部に住居を構えており、ノルウェー国境まで車で1時間半ばかりの距離。スウェーデンに住んでいれば、ノルウェーに入るのに狂犬病ワクチンはいらない。だから気軽にほとんど手ぶら状態で犬と入国できる、.…と思いきや、そんな近い国に行くにも、最近は犬のパスポートが必要であることをこの度知った。

便利なペット・パスポート

アシカのパスポート。愛犬の写真を貼るのは自由。

さてEU諸国内をペットと旅するにはペット・パスポートというものが必要とされる。昔からあったわけではなく、2001年に導入された制度だ。パスポートには必要なワクチン接種等の記録が記される。だから、これを持っていれば検疫が必要ではなくなる。たいていの国では狂犬病の予防接種の証拠が入国の際の条件となる。もちろんマイクロチップが犬に入っているのは前提だ。パスポートにはマイクロチップの番号も記される。

ではノルウェーに入るには何が必要かというと、入国24時間以上120時間以内に寄生虫のエキノコックスを駆除する条虫駆除剤が与えられた、という証拠。そう、北海道のキタキツネでおなじみのエキノコックス。エキノコックス症は糞を介入して広がる人獣共通感染症。駆除剤は獣医さんの目の前で飲ませなければならない(もちろん獣医さんに飲ませてもらってもいいのだが、たいていは自分で行う)。その証拠を記してもらうためにパスポートが必要となる。というわけでノルウェー行きに際して、早速アシカはパスポートもあつらえてもらうことになったのだ。

これがパスポートに記された「エキノコックスの駆除剤が投与された」という証拠のスタンプ。

パスポート発行料と獣医さんによる確認スタンプ、これだけで2万円ぐらいかかった。今までタダでノルウェーとスウェーデンの間を犬達と行ったり来たりしていただけに、旅行が始まる前からすでに散財した気分に…。とは行っても、パスポートを一度取得しておけば、今後はいつでも海外に。そう思うとやはり自由を獲得した気持ちにもなる。車とパスポートさえあれば、犬達を連れてヨーロッパを好きなように旅できるのだ!

二頭ともめでたくパスポートをゲット!準備完了。いざ外国へ!!

車に荷物を詰め込み、ノルウェーへ

スウェーデンとノルウェーの国境。道路によっては、国境とはいえ税関がないところもある 。しかし抜き打ちチェックで警察の車がここに止まっていることもある。

今までだって国境で車を止められたことはなかった。さ〜っと通るだけである。もっとも、スウェーデンから来ていれば、我々ヒトですらパスポートを持参することはない(いざとなれば免許証を見せるだけで十分)。日本から来た人は大抵この国境越えのあっけなさにびっくりする。 ただしペットを連れていればさすがにチェックするだろう、と思いきや、誰も税関小屋から出て、車を止めようともしない。 車の窓から犬のケージはバッチリ見えているはずだ。せっかくあんなに頑張ってパスポートを得たのだから、この際、しっかり見て欲しいものだ。ただしこの状態は、デンマークからスウェーデンにフェリーで入るときも同様であった。しかし、税関で警察官が一番神経を尖らせているのは、東欧などから大量に密輸されるパピーミル出身の無登録で予防接種も受けていない子犬達。車の後部トランクやトラックの荷台に積まれ入ってくる。

一旦ノルウェーに入ると、道路の中央線がスウェーデンの白から黄色に変わる。これが唯一 「外国に来たなぁ」という感慨をもたらしてくれるものかもしれない。しかし車を走らせるにつれ景色は徐々にだが変わってゆく。そして2時間後には山々が両脇に迫り急峻なノルウェーらしい風景が目の前に広がる。もちろん犬達はこれがノルウェーだとかスウェーデンだとか気にするわけではない。でも飼い主としては「アシカ、初めての外国だよ!」と気持ちははしゃぐ。さらに彼らが自然道の脇にウンチを落としてゆけば(森林でウンチをしてもさすがに北欧では拾う人はいない)、

「条虫駆除剤を飲んでいるもんね。いくら落としても大丈夫!」

とパスポートを持っている誇らしさもこみ上げてくる。

というわけで、家族の犬連れノルウェー旅行は楽しく始まった。旅行の詳細についてはいずれの機会に記すとしよう。

 

ABOUTこの記事をかいた人

藤田りか子

ドッグ・ジャーナリスト。スウェーデン・ヴェルムランド県の森の奥、一軒家にて、カーリーコーテッド・レトリーバーのラッコと住む。人生のほぼ半分スウェーデン暮らし。アメリカ・オレゴン州立大学野生動物学科を経て、スウェーデン農業大学野生動物管理学科にて修士号を得る。 著者に「最新世界の犬種図鑑(誠文堂新光社刊)」など多数。新しい犬雑誌「Terra Canina(テラカニーナ)」編集及び執筆者