【インタビュー】Interpets(インターペット)柏木克哉・井上京子|KEYPERSON’S STORY

ペット関連グッズから自動車、住宅、IT、家電、レジャー・観光など、ペットとの暮らしを豊かにする商品やサービスが集結する日本最大級のペットイベントである、「Interpets(インターペット)~人とペットの豊かな暮らしフェア ~」。

6年目を迎えた今回、3月31日(木)〜4月3日(日)にかけて東京ビッグサイトにて開催されたInterpets(インターペット)は、来場者数は約28,000人、来場したペットの数は10,000頭超といずれも過去最高の数字を記録し、大盛況のまま幕を閉じました。

そんなInterpets(インターペット)の仕掛け人である、メサゴ・メッセフランクフルト社の柏木克哉さんは、ご自身と愛犬との出会いが人生の転機となり、今では日本最大級のペットイベントとなったInterpets(インターペット)をゼロから創りあげてきた人物です。

Interpets(インターペット)立ち上げまでの経緯や今回の振り返りなど、営業担当の井上京子さんにもご同席いただきお話を伺いました。


メサゴ・メッセフランクフルトについて

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【編集部】メサゴ・メッセフランクフルトとはどのような会社なのか教えてください。

柏木:メサゴ・メッセフランクフルト株式会社は、ドイツのフランクフルト市に本社のある会社です。

簡単に説明すると、フランクフルトモーターショーを開催しているビックサイトの5〜6倍くらいある会場のオーナーをしている会社が本社になります。

本社では箱貸しもビックサイトと同じように行っているのですが、自主企画で見本市を企画・運営するということもやっていて、その日本支社がうちになります。日本ではビューティ系、インテリア系、技術系、そしてインターペットという4本の柱で自分たちが開催する展示会を行っています。

支社が世界各国にあって、年間100本ほど展示会を開催しているので、元々僕はそちらに送り出す仕事をやってました。日本の出展者や来場者を海外の見本市にお連れする仕事です。

Interpets(インターペット)立ち上げのきっかけとは

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【編集部】柏木さんがInterpets(インターペット)を立ち上げたきっかけを教えてください。

柏木:犬が苦手だったのが、きっかけといえばきっかけですね(笑)。

僕が子供の頃は、年がバレちゃいますけど、まだ野良犬もいっぱいいて、追いかけられたり咬まれたりというのも日常茶飯事でした。そのため非常に犬が苦手な人間で、そのまま成長し、結婚もしました。ただ、子どもがいなかったもので、清水の舞台から飛び降りるつもりで、フラットコーテッド・レトリーバーという大型犬をホントに思い切って飼い始めたら、もうホントにハマってしまいました。

当然、犬に慣れていないので、子育て奮闘記が始まりました。

その奮闘記の中で、もうちょっと情報があれば良いなと。当時はペットショップに行っても物のことしか分からない、動物病院に行っても医療のことしか分からないという状態でした。この子を連れてドライブに行きたいと思ったときに、安全に乗せられる用品もあまりなかったですし。

こういう仕事をしているので、日本のペット関係の展示会事情を調べてみたら、もちろん他にも面白い展示会はあるのですが、ライフスタイルで切り取った展示会がないなぁと感じ、そういった展示会を実現しようと2011年にInterpets(インターペット)を立ち上げました

「ユーザー目線」を第一に考えた展示会へ

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【編集部】立ち上げにあたって一番重視したポイントはどのあたりでしょうか?

柏木:ペット業界だけの展示会だと、色々な業界の展示会をやっていますけど、往々にして業界の自己満足になりがちで、ユーザー目線でなかなか考えられなくなってくるので、最初から異業種からの出展をターゲットにしました。

もちろんペット業界が基本としてありつつも、異業種からの刺激というのが僕の狙いでした。2014年にビックサイトに拠点を移してからまたグンと伸びたのですが、やはり他のペットイベントにはないライフスタイル型というブランディングが、やっと成功してきたかなという感じです。

今年は出展者の皆さんも本当にブースの作り込みもきちんとなさっていましたが、当時はドッグショーというのが展示会に近い場所だったのですが、物販の方々は簡易的にブースを構えているだけでした。物販の方々が中心ではなく、あくまでも血統書付きの犬のショーが中心なので。それがペット業界の基本だったらしいんですよね。

ただ、“展示会”というのは見に来られる方々に対する演出も必要なので、やっぱり展示会らしくということで、きちんと見せ方から何からを出展者の皆さんに伝えていくのが難しかったですね。

「何のために?売れりゃいいんだこっちは」みたいな人も多かったので、そうではなくてライフスタイルを伝えていく展示会にしたかったという思いがあり、“モノを売るよりもコトを売る” ということは随分口酸っぱくして出展者さんに言ってきたつもりです。

大盛況だった2016年のInterpets(インターペット)を振り返る

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【編集部】6回目となった今年のInterpets(インターペット)はいかがでしたか?

柏木:まず会場が倍の規模になり、出展者も1.5倍になったということは良かったです。集客ができるようになったので、通路幅はかなり広めに取っておきました。

出展内容に関しては、人もペットも健康志向ということを感じました。

人間の健康志向というのは随分何年も言われていて、ペットにも移ってきているのと、人もペットも高齢化というキーワードを受けて、ケア商品が増えました。たぶん昨年の1.3倍〜1.4倍は増えてるいんじゃないでしょうか。

歯磨き用やサプリといったものから、もちろんビューティも最終的にはケア。そういったものが非常に増えて、高齢化を感じさせるというところですね。あとはやはり「ネコ来てるぞ!」という感じで、ネコ用品やネコフードの方たちがすごく頑張り出していて、いわゆる今流行りのネコグッズというのもけっこう増えたと感じましたね。

『INU MAGAZINE(イヌマガジン)』です。

あと、おもしろいところでは、やっぱりIoTを利用した見守り系とか健康管理系は増えてましたよね。

IoT(アイオーティ):Internet of Thingsの略で、コンピュータ等の情報通信機器だけではなく、あらゆるモノがインターネットに繋がり相互通信するようになることで、より安全で快適な生活のために必要な様々な機能を実現しようとする考え方やシステム、サービスのこと。例えば、外出先からも愛犬の様子を見ながらご飯をあげるといったコミュニケーションのとれる「Furbo」も今年のInterpets(インターペット)に出展していたIoT系サービスの一つ。

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井上:今回、新しいイベントを取り入れまして、去年は例えば「キッズ獣医師体験」だったのですが、今回はトリマーを夢見る子どもたちにトリミング体験をしていただく「未来トリマーといったトリマー関係の企画を行いました。

あと「イヌリンピック」という飼い主と犬が一緒に楽しめるイベントがあったんですけど、飼い主とワンちゃんたちがもっと一緒に楽しめるイベントを、もうちょっと増やしてもいいのかなっていう風に思いましたね。

Interpets(インターペット)って、ワンちゃんを飼ってる人はすごい楽しめるイベントだと思うんですけど、これからワンちゃん飼いたいなって思ってる人たちも増やしていきたいと思っています。お子さんとか、おばあちゃんとか、幅広い人に来ていただけるイベントになるように、いろいろ工夫していきたいと思います。

柏木:あとは、「安易に飼わないでね」っていうメッセージも含めながら、でもペットとの暮らしってこんなに素敵だよとか、今はペットがいたら何々ができないっていう方向で頭数が減っているけど、ペットがいるからこんなことができるっていうことの提案を、もっとしていければいいよね

Interpets(インターペット)の未来のかたちとは

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【編集部】今後Interpets(インターペット)をこんな風にしていきたい!という未来像はありますか?

柏木:そこそこの規模で、ゆったりと見られて、お客様の安全を一番に確保して、笑顔で過ごしていただきたいというところですね。

あとはどうしても“点”なので、今のところ東京でしか開催していないから、それでも今年は泊まりがけで地方から来てる方が、どうやって来られてるんだろうと思うけど、ずいぶん増えました。

そうすると、Interpets(インターペット)に地方からも来やすいアクセスというかインフラを作るか、 Interpets(インターペット)自体が地方開催を考えるかっていうことになってくるのかなと。

あとは、やっぱりせっかく異業種の出展者もこれだけ来てくれているので、異業種とペット業界のコラボっていうのをもうちょっと増やしていきたい。これは営業サイドの問題になるのですが、僕自身、立ち上げた人間としては、もうちょっとコラボして一緒に伸びていって欲しいなという感じですね。

【編集部】もっとこのあたり人たちが出てくれたらっていう業界はあるんですか?

柏木:実際、野球チームのオリックスがワンちゃんと試合を見れるイベントを開催したり、全日空がワンワンフライトを出したり。そういった人たちにもっと、出展なのかは分からないですけど、もっともっと頑張っていただきたいですね。

Facebookページ上の投稿でも、一番リーチや “いいね”が多いのが「ペットとインフラの問題」なんですよ。

だからペットと一緒にどこかに行くときに、何に乗れる乗れないとか、飼い主さんはそういうことに一番関心が高い。だから今回のワンワンフライトに関する投稿も、13,000リーチくらいあったんじゃないかな。

そういうペットとインフラに関する課題というのが業界にはあると思うので、その辺りですかね。

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Interpets(インターペット)という一大イベントを立ち上げ、かつて日本にはなかった、人とペットとの豊かなライフスタイルを実現するための提案の場を生み出した柏木さん。

モノからコトへ価値の比重が移り変わっていく業界の変化の波をとらえ、ペット業界だけではなく異業種の空気を取り入れて活性化していきたいという強い思いが、いまや日本最大級となるペットのためのイベントを育んできました。

今のInterpets(インターペット)はまだまだ“点”。もっとこの輪を広げていきたいと話してくれた柏木さん。

そして、ペットを飼っていない人も楽しめるイベントにしていきたいと話してくれた井上さん。

二人の目線の先には、私達愛犬家をはじめとした人間と様々な動物たちとがより豊かに暮らせるライフスタイルを実現していくための確固たるビジョンがありました。これからのInterpets(インターペット)の更なる発展に引き続き注目していきたいですね。