ドッグダンスで新発見!愛犬の隠れた能力

文と写真:三井 惇

こんにちは。いい歳をして、私は犬と一緒に踊っています。

犬との暮らしは子供のころからですが、実際に犬の世話を始めてうん十年。きちんと犬と向き合うようになってからは20年近く経ちます。

大型犬の介護の大変さから、次に迎える犬は中型犬にしようと思い、見た目だけで選んでしまった運命のボーダーコリー。しかし、「かわいい、かわいい。」だけでは犬にとって幸せではないし、犬が幸せでないと飼い主も幸せでなくなることを実感し、トレーニングの勉強をした犬バカです。

イギリス人一家と先住犬が教えてくれた犬の能力

ボーダーコリーを迎える前に飼っていた大型犬は、まったくトレーニングの経験が無い状態の生後7か月で我が家にやってきました。シベリアン・ハスキー犬のオスでしたが、幸いとても性格が良かったので、家族の一員としては全く問題なく、のんびり暮らしていました。

当時我が家の向かい側には転勤で日本に来ているイギリス人一家が住んでおり、奥様が大の動物好きだったので、私が忙しくしていると、ウチの犬と散歩に行きたいとちょくちょく連れ出してくれました。私はてっきり散歩にだけ行っているのだと思っていましたが、イギリスに帰る直前に渡してくれた写真を見てびっくりしました。彼らはウチの犬と遊んでくれていたのです。

そのときの写真がこちらです。

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ウチの「まったり犬」が輪跳びをしている。しかも、ピエロの恰好のイギリス人の子供たちと。まさに衝撃的な写真でした。彼にはこんな能力があったんだと初めて知った瞬間でした。家の中ではごろごろ寝て、私の散歩にもつきあってくれ、愚痴まで聞いてくれていた彼は、向いの家でストレスを発散していたに違いありません。

トレーニングっておもしろい

彼のあとにやってきたボーダーコリーはメスでしたが、さすがにハスキー犬とは全く違う動きを見せました。家の中では常に私をストーキングし、人の話をいつも聞いています。放っておけば悪戯をするし、ちゃんと理解できれば二度とやらない。そんな彼女にストレスを溜めさせないためには、もっと彼女との時間を有意義なものにしなくてはいけない。そう思って私は初めてトレーニングを実践することにしたのです。もちろん全くの素人が簡単にトレーニングなど出来るものではありません。最初はブリーダーさんに教わりながら彼女に基本の動作を教え、上手に出来るようになったら競技会に出陳するようになりました。やればやるほど生き生きする彼女とのトレーニングは本当に楽しいものでした。

それから6年、もっと楽しいことはないものかと思っていたところ、たまたまテレビで見たドッグダンス(ミュージカルフリースタイル)にまたまた衝撃を受けてしまったのです。画面ではイギリスの女性がボーダーコリーと一緒に音楽に合わせてステップを踏んでいました。犬はその女性(ハンドラー)から目を離さず、女性の動きに合わせるように動いています。一体どうやって教えているのでしょう。もう興味津々なのですが、当時は動画サイトもなく、情報を入手するのは至難の業でした。そんなとき友人からドッグダンスの練習会に誘われたのです。なんといいタイミングでしょう。これを機に私はどっぷりとはまってしまったのでした。

意外と身近なドッグダンス

ドッグダンスはダンスと言うくらいですから「私は踊れないからダメだわ」とよく言われます。踊ってもいいのですが、踊らなくてもいいんです。発祥の一つとも言われるヨーロッパ、特に北欧の方々は踊ることよりも、音楽のストーリーにあわせて演技の構成を考えるフリースタイラーが多いそうです。もちろん好きな音楽に合わせて、愛犬とシンクロしながらステップを踏むのも私は大好きです。

一緒にステップを踏むだけでなく、ドッグダンスには様々なトリック(技)が使われます。それを犬たちに教えるのもまた楽しいものです。今はネットで沢山の動画が見られるので、様々な犬種でドッグダンスを楽しむ人たちの技を見ることができます。小さいチワワ犬がハンドラーの足に自分の足を乗せていたり、大きなニューファンドランド犬がハンドラーの動きとシンクロして前足を上げていたり。日本にいながらにして、海外のトップフリースタイラーの演技を見ることができます。もちろん日本国内にも世界に通用する素晴らしいフリースタイラーたちが沢山います。「あんなの難しくてウチの子には出来ないわ。」とあきらめてしまうのではなく、愛犬に何かを教えてあげる楽しみをみつけてみませんか?

ちなみに、ドッグダンスでは犬が前足を伸ばしておじぎをしているような動きをよく使いますが、この姿勢ふだん家の中で見たことありませんか?

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我が家の犬たちは毎朝起きると勝手にこの姿勢をとります。伸びをしているんです。それを見るたびに「おじぎ」とか、「おじぎ上手ねぇ」と言い続けていたら、ある日「おじぎは?」と聞くと、「これでしょうか?」とこの姿勢をとりました。

つまり犬の自発的な動き(伸び)にキュー(言葉の合図)をつけて、動きと動きの名前に関連付けをし、犬にキューの意味を覚えてもらったのです。

どうですか?ドッグダンスっておもしろいでしょう?

オビディエンスも含めドッグダンスのことこれから少しでもお話出来ればと思っています。


文と写真:三井 惇

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ドッグトレーナー(CPDT-KA)

ボーダーコリーと出会ってから生活が一変し、現在4頭目と5頭目のボーダーコリーとドッグダンスやオビディエンス(服従訓練)を楽しむ一競技者。

ABOUTこの記事をかいた人

三井 惇

ドッグトレーナー(CPDT-KA) ボーダーコリーと出会ってから生活が一変し、現在4頭目と5頭目のボーダーコリーとドッグダンスやオビディエンス(服従訓練)を楽しむ一競技者。