今年は、青山と恵比寿の2会場で開催「PET DAY ’16 」レポート

文と写真:白石花絵(しらいし・かえ)

「東京、犬暮らし」と連載に名前がついている以上、たまにはキラキラとした都会っぽいものも書かなくちゃ!(笑)と思いまして、今回は11月19日、20日に開催された「PET DAY’16 」に行って参りました。

「ペットを飼っている人も飼っていない人も、大人も子どもも、ペットとの幸せな暮らしを感じよう」

この「PET DAY’16 」は、今年で2回目。PET DAY 実行委員会と一般社団法人Do One Goodが開催しています。昨年は青山会場だけでしたが、今年は青山と恵比寿と2会場にグレードアップ。両方ともいつもDo One Goodがアダプションパーク(保護犬猫の譲渡会)を開いているところです。

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青山の国連大学(住所は東京都渋谷区神宮前5丁目になります。最寄り駅は表参道駅。国道246号沿いです)ファーマーズマーケットの奥にある中央広場と、恵比寿ガーデンプレイス(東京都渋谷区4丁目。最寄り駅は恵比寿駅)時計広場マルシェ ド ノエルという、どちらもとってもおしゃれでメジャーな場所です。こういうところで保護犬譲渡会や犬イベントが開催されることに意義がある気もします。たくさんの人の目に触れる、今まで保護犬のことを知らなかった人、犬猫はペットショップで買うのが当たり前、というかそれ以外の出会い方を知らなかったという人に、新しい選択肢を知ってもらう大きなチャンスになると思います。

このイベントの目的は「ペットを飼っている人も飼っていない人も、大人も子どもも、ペットとの幸せな暮らしを感じよう」。啓蒙活動とかそういう難しいヤツではなく、とにかくみんなで楽しもう!という雰囲気が満ち溢れており、とても大らかなのがステキです。もちろんペット連れ大歓迎とのこと。入場無料も無料です(一部のワークショップは有料)。

しかしPET DAY初日の土曜日は、残念ながら午前中が大雨だったため、正直集客もいまいちで、いろいろ大変だったみたいです。いくつかの展示やワークショップが用意されていましたが、保護猫カフェのネコリパブリックの「猫おめん作り」は急遽、恵比寿会場から青山会場に移動になったり、猫のツリーハウスの場所も恵比寿会場内の中で予定を変更し、別の場所に移動になりました。実行委員の方の当日現場でのご苦労を想像すると大変だったに違いないと思ってしまいます。幸い、恵比寿は生体の保護動物はいなかったのでそれはよかったですね。

日曜日は最高のイベント日和。大きな「天国のクジラ」に感涙

けれども天は実行委員会を味方し、2日目の日曜日は快晴!(よかった。涙)。しかも暖かい1日で、晩秋に色づくイチョウが最高に綺麗で、たくさんの人がお出かけしたくなる最高のイベント日和でした。

そこで、うちもまずは青山会場へ!

早速目に入るのがファーマーズマーケット。大変な賑わいです。食欲の秋ですもね〜。たくさんの人たちがいっぱいいて通路も人で溢れています。それでも、このマーケットの懐が広いところは、クーパーのような人相の悪い(笑)犬を連れていても、みんな自然な対応をしてくれるのです。「コワイ、噛まれるよ〜」という人もいないし(これ、実はよく言われる)、反対に「おっきい犬だーー、すごいねー、高そうだねー」と騒がれることもない(高そう、もほんとによく言われる。すごくムッとしてしまう。犬の価値は、高い安いじゃないでしょうに)。大型犬がマーケットに野菜や花を買いに来ても「普通」。私はそれが嬉しいです。犬が街にいることが「普通」。特別な存在じゃない。いて、当たり前。それがほんとの共生、共存だと思うのです。青山というお土地柄、外国人も多く、インターナショナルな感覚が染みついているのかもしれません。

クーパーがいても、リードを短く持って「すみませーん、犬、通りまーす」と小さい声で人波をかき分けさせてもらって(それで嫌がる人やあからさまにびびる人はいなかった。感謝)、その奥にある中央広場へ。その入り口のところに、大きな大きな『天国のクジラ』の絵画がありました。人気画家の長友心平さんのアートプロジェクトです。

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長友さんに愛犬の似顔絵を描いてもらえるワークショップもありました(有料。ハガキサイズ1点4,000円)。でも私がやはり目を奪われたのは、やっぱり『天国のクジラ』の展示制作です。このアート活動は2014年から始まったそうですが、きっかけは長友さんのお母様が2013年冬に他界されたことでした。旅立たれた家族(犬猫も含む)がみんな一緒に、天国の大きなクジラに乗って、広い雲海を泳いでいく。ペットロスの悲しい気持ち、辛い気持ちを乗り越えて、飼い主さんが長友さんに愛犬をクジラの背に乗せてもらうことを依頼するのです。その気持ちを考えるだけで、胸が詰まると同時に、悲しみを乗り越えていけそうな勇気も湧いてくる……犬が好きな人なら、犬との別れを経験したことがある人なら、みんな胸にグッとくるのではないでしょうか。

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私が行ったとき、シェルティーの飼い主さんご夫婦が、スマホに残っている愛犬の写真を長友さんに一生懸命見せて、長友さんが心をこめてシェルティーの絵を描いているところでした。ああ、今年、家族のシェルティーが旅立ってしまったんだね……と私は飼い主さんに聞くこともできずにいましたが、クーパーが反応するから振り向くと、カートの中にカワイコちゃんのシェルティーが2頭おとなしくいました。飼い主さんは「1頭は8か月なんです」と、はにかむ笑顔で答えてくれました。ああ、新しい家族を迎えたんですね、とちょっと心がほわっとしました。

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そのほか青山会場では、獣医師による無料相談会やアダプションイベント、日本レスキュー協会の活動紹介ブース、Do One Goodのチャリティショップがありました。

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日本レスキュー協会のブースでは、賢いおとなしい黒ラブさんがいて、どんな犬が来ても動じないで、リラックスして休んでいました。なんて賢い(幾多の経験を積んだ災害救助犬なので当たり前だとは思いますが、やはり感動)。

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それに比べて、まだまだ社会化トレーニングが足りないうちのクーパーですが、このイベント中にいろいろな人に頭も撫でてもらったり、おやつをもらったりして、クーパーの心の強化に役に立ったと思います。社会化練習は、やらない期間が空くほどに、よけい不安が強まりますから、無理のない範囲で練習を繰り返すことは絶対に必要。クーパー、おまえも頑張るんだ。山もいいけど、たまにはシティボーイの練習もしておかないと。いつ大地震が来て、クーパー自身が被災犬になる日がくるとも限らないのだからね。それにこのPET  DAYに来ている人は、間違いなく犬に愛のある人だよ。いっぱい撫でてもらいなさい!

イルミネーション輝く恵比寿会場へ。チャリティーショップで「買って応援」

さて、恵比寿会場も気になったので、今回はクルマで(頑張れば恵比寿までも歩けるのですが、今年はクルマ移動)行ってみました。すっかり日が暮れて、イルミネーションのきれいな時間です。恵比寿ガーデンプレイスは、犬連れも許してくれるロケーションなので、犬と一緒に散歩がてら来ている人も多く見かけました。

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恵比寿会場でのPET  DAYのワークショップは終了していましたが、ここにはチャリティーショップのDo One Good CHRISTMAS BAZAARが期間限定でオープンしていて、こちらは20時までやっています。今年で4年目。ここで販売しているものはすべてチャリティー商品なんですって。各メーカーが、保護動物に対して想いを寄せて、保護活動や譲渡会運営資金を集めるために提供してくれているそうです。応援したくなるじゃーありませんか! 犬の服、雑貨、おやつなどが並んでいます。小さなウッドハウスのようなお店の中に、犬も入ることができます。

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若干クーパーはデカくてジャマそうなので外でオットと待たせましたが、メルは入ったら、これまたお店の方だけでなくお客様からも温かく可愛がってもらえました。このDo One Good CHRISTMAS BAZAARの趣旨をご存知のお客様は、動物福祉に関心のある方が多く、真面目で犬全体に愛のあるいい飼い主さんが多いのかもしれません。メルにとってもよい社会化練習です。

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ボクサーは寒がりなので、メルにセーターのような暖かい犬服をどうせ買うならここで!と勇んでおりましたが、残念なことに、小型犬のお洋服が中心。うん、ま、しかたないね。というわけで唯一わが家の犬でも楽しめる、長い牛タンのおやつを買って帰りました。ささやかではありますが「買って応援!」ですね。

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2日にわたり、開催された「PET DAY’16 」。まだ手探りで、いろいろ模索しながら頑張っている途中の感じがしますが、逆にこの完成されていない、手作りな温かみのあるところがいい!とも思いました。企業が行う、資金の潤沢なイベントと比較する必要はないと思います。「PET DAY」は、参加者含み、みんなでつくっていくイベントなのではないかなぁと感じました。

「飼っている人も飼っていない人も、PET DAYのテーマ【ペットと過ごす幸せな一日】を感じていただけたのではないでしょうか」という主催者側の想いは、ちゃんとしっかり伝わってきました。

来年はどんな風にパワーアップされるのか楽しみです。どんどんパワーアップされることを期待します。

ちなみに、期間限定のチャリティーショップDo One Good CHRISTMAS BAZAARは、恵比寿ガーデンプレイス、ノエルドマルシェ内で11月5日(土)〜12月25日(日)までオープンしています。12時〜20時まで営業です。

ノエルドマルシェ内でもいちばん恵比寿駅に近いクルマ通りに面している位置なので、犬の散歩中にぷらりと立ち寄りやすい場所です。そして恵比寿ガーデンプレイスのクリスマス恒例のバカラのシャンデリアは、今年も美しかったです。愛犬の社会化を兼ねて、遊びにいってみてはいかがでしょう。

Do One Good CHRISTMAS BAZAARの最新情報は、Facebookページで更新されます。そちらも要チェック!

ABOUTこの記事をかいた人

白石 花絵(しらいし・かえ)

雑文家、ドッグ・ジャーナリスト。夫1、子ども1、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターのクーパー、ボクサーのメル、黒猫のまめちゃんと東京都庁の見える街で暮らす。広島修道大学法学部法律学科卒業、その後広告制作会社でコピーライターを経験したのち、公益財団法人世界自然保護基金WWFジャパンの広報室に勤務。それからフリー。「日本にすむ犬が1頭でも多くハッピーになること。日本の犬がもっと社会から理解され、市民権を得られるようになること」、そのための記事を書くことがライフワーク。著作に『東京犬散歩ガイド』『うちの犬―あるいは、あなたが犬との新生活で幸せになるか不幸になるかが分かる本』、構成・文として『ジャパンケネルクラブ最新犬種図鑑』等。