ディズニーリゾートに犬と一緒に泊まれる! シェラトン「ドッグ・ラバーズ・スイート at トーキョーベイ」誕生

文と写真:白石花絵(しらいし・かえ)

ランドに行きたい! シーにも遊びに行きたい! 舞浜に泊まってみたい! ……でも可愛いうちの犬を終日お留守番させるのは忍びないから、なかなか舞浜に行けない……、そんなジレンマに悩まされている犬好きの人は少なくないはず。とくに私の経験上、小さな子どものいるおうちの場合、キラキラ輝く夢の国に滞在することは子どもの夢を育むために欠かせないイベント、しかし愛犬も大事だからないがしろにしたくない……という家庭の話しはよく聞きます。いや、小さな子どもがいなくたってディズラー(ディズニーランドが大好きな人)は、老若男女関係なく多く存在しています。身近な人の中にも意外な人が年間パスポートを持っていて、ちょっとびっくりしたり(笑)。犬が好きな人は、ミッキーもドナルドもプーさんもみんな大好きなはずです!(きっと!)

新客室棟「PARK WING」が完成!

そんな犬と夢の国を愛する人に朗報であります。2016年12月19日、シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルに「ドッグ・ラバーズ・スイート at トーキョーベイ」が誕生しました。従来の本館に加えて新客室棟「PARK WING」が増築され、客室数が1000室を超える舞浜エリア初となる超大型ホテルとして生まれ変わったタイミングで、愛犬と一緒に泊まれるドッグフレンドリールームができたのです。

シェラトンに犬と泊まれるなんて!
ここが「ドッグ・ラバーズ・スイート at トーキョーベイ」の入り口

体重15kg以下の犬、2頭までOK!

12階建ての「PARK WING」のうち、客室は10階まで。その1階がドッグラウンジといって愛犬同伴の宿泊客専用のチェックインカウンターや小型犬が遊べる室内のドッグランがあります。

ドッグラウンジ。奥に室内ドッグランが見える
ディズニーの犬グッズが揃っているのもファンにはたまらない
ドッグ・ラバーズ・スイート専用のチェックインカウンター

カウンターの奥には、トリミングルーム(有料)、そして一時預かり(たとえば昼間、パークに行っているときに預かってもらえる)「ドッグキャビン」があります。ドッグキャビンのケージの数は60コ。つまり60頭預かれるということで、なかなかの力の入れようです。昼の間はドッグキャビンで預かってもらって、パークから戻ってきたら、自室に愛犬を連れて行き、お部屋で一緒に泊まれるのです(犬だけを部屋に置いておくのはNGですよ)。

チェックインカウンター奥にあるトリミングルーム
シャワースペース。標準で、ジョンマスターオーガニックのシャンプー&コンディショナーを使っているのもこだわりのひとつ。石油由来の化学成分を一切使っていないオーガニックなシャンプーだ
ドッグキャビン。犬を管理するのは犬のプロの人たち

2階が愛犬連れのお客様用の客室で16部屋あります。宿泊できる犬は、体重15kg以下の犬(ううう、うちのポインターやボクサーはでかすぎるため泊まれず。いつか日本のシェラトンでも大型犬がOKになりますように)。1部屋に2頭まで。1頭分の宿泊費は、部屋代に含まれており、2頭目は追加で7,000円(税込)となります。1部屋のお値段はレギュラールーム(14室。基本2名。でもエキストラベッドで4名までOK。たとえば夫婦と犬1頭)で58,000円〜(シーズンにより価格に変動あり)。1人58,000円じゃないですよ、1部屋の値段です。思ったよりリーズナブル⁉︎ そしてレギュラールームより広いコーナールーム(2室。セミダブルベッドが4つあるので、基本大人4名と犬1頭)で87,000円〜。お泊まり女子会(ただし4人泊まれるけれど、犬は2頭までなので、愛犬家オフ会というより、犬を飼っている2人の友達を誘えるという感じ)にもよさそう。

海外のシェラトンの「Love that Dog」をお手本に

それにしても、Tokyo Disney Resort®オフィシャルホテルの中で初となる犬OKホテル、よくぞ英断してくれました。そのきっかけはなんだったのでしょうか。生沼久副総支配人に聞いてみました。「お客様から犬も泊まれたらいいな、という声が多かったのです」。ときに夜の駐車場に、犬をクルマに残して宿泊しているケースを見かけたこともあり、スタッフは胸を痛めたそうです。「また海外のシェラトンではもともと、Love that Dogというプログラムがあり、そういう海外の手本があるので導入しやすかった」とのこと。シェラトンの「S」のマークが入ったおしゃれなドッグベッドやフードボウルのマットは海外のシェラトンのもの。今回それを日本に輸入してそのまま客室で使っています。さすが外資のホテルチェーン。愛犬と一緒に宿泊するというのは特別なことではなく、家族の一員としてちゃんと扱ってもらえているのが嬉しいです。

シェラトンオリジナルのドッグベッド、フードボウルセット、エチケットビニール袋(ケース付)。おしゃれ〜。現時点で販売はしていない。ぜひ市販も検討してほしい

とはいえ、ここは日本。アレルギーのある人のことや、動物を苦手な人のことも考慮せねばならないのでご苦労があったのでは? 「ええ、愛犬家のお客様と一般のお客様がどう共存できるかをいちばんに考えました。そのため動線を気にしました」。結果、「ドッグ・ラバーズ・スイート at トーキョーベイ」の宿泊客には専用のチェックインカウンターを設け、エレベーターも別々にして、一般客と会わないように動線を完全に分けています。犬がいても平気な一般客は犬エリアに入ることは可能ですが、犬は本館には入れません。

廊下やエレベーターはリードで歩くのはNG

また廊下やエレベーターなどの共有部分は、犬はケージに入れるのがルール。リードで歩いていい共有スペースは、1階のドッグラウンジだけです。共有スペースをケージから出さないようにお願いしているのは、迷子や事故予防などの安全のためでもあります。「とにかく安全第一です。安全に楽しく過ごしてもらい、楽しい思い出をつくってお帰りいただきたい。モノ(ホテルの備品)は壊しても直せますが、思い出は直せませんから」と、「ドッグ・ラバーズ・スイート at トーキョーベイ」のスーパーバイザー貴島靖人さんは笑顔で答えます。ホテルマンの愛を感じました。

愛犬のためのさまざまなサービスも充実

リゾート感溢れるインテリア。コーナールームはセミダブルベッドが4つ

リゾート感溢れる内装のお部屋では、ボロン材というメンテナンス性のよい床材を採用し、衛生面に配慮しています。また愛犬同伴可の客室にはすべて空気清浄機を常設。ソファーは衛生的に使えるように合皮のものを選び、そのうえに布のカバーをかけています。

そして特筆すべきは愛犬のためのルームサービス。ホテルのシェフがドッグ・ラバーズ・スイートの可愛い小さなお客様のために特別に考案したメニューが並びます。器も食べられる愛らしい愛犬用のメニューは、ロールケーキ500円〜と意外と良心価格。バースディケーキ(1,400円)もあります。

さて、ドッグ・ラバーズ・スイートのチェックインは15時〜20時。ドッグラウンジが開いているのは朝9時〜夜21時まで(室内ドッグラン利用時間も同じ。飼い主がドッグランで遊ばせるのは無料です)。おやおや、ランドは早いときは朝8時から、夜は22時までやっている日もありますよね? と聞くと、朝6時から9時までと夜21時から24時までの間は、飼い主自身でドッグキャビンへ愛犬を預けておくことや迎えに行くことができるのだそうです。

ラウンジの内装

また宿泊する犬は、エチケットサービスとして、ブラッシング、爪切り、耳掃除、肛門嚢しぼりの4点を無料で行ってくれます。親切ですね。ちなみにこうした犬のサービスは、ペットサロンやペットケアマンションなどの運営を行う西武ペットケアに業務委託しており、トリマーが行います。またドッグキャビンの責任者はドッグトレーナーとのこと。犬を扱う部門は、犬のプロに任せているというのも安心です。

飼い主が昼間にパークに行っている間に、トリミングサービスを依頼することも可能(別料金)。これは普段のトリミング時の送迎の手間が省けて意外と便利かもしれないです。犬も退屈しないでしょう。また、昼間ずっとドッグキャビンの中では寂しいかな、と心配な場合は、ペットシッターのようにスタッフに遊んでもらうプレイタイムのサービス(別料金)もあります。

プレイタイムのサービスを頼めば、ドッグランで一緒に遊んでもらえる。15分540円〜

そのほかドッグキャビンは、たとえばシェラトンのホテルでの結婚式に参列している時間やレストランを利用する間のお預かりも対応してくれます(1時間1,000円、6時間以上は6,000円)。また本館に宿泊しているお客様の犬も泊まれます(犬1頭1泊税込10,000円)。つまりドッグ・ラバーズ・スイートの宿泊客でなくても、シェラトン利用者なら、犬へのホスピタリティがよくなったということです。これでもう駐車場に犬を残したままにされることもなくなるかな? ぜひそうなってほしいです(とくにゴールデンウィーク頃の初夏からは、熱中症になりやすく、本当に命にかかわりますから!)。ちなみに、シェラトンでは「ドッグ・ラバーズ・ウェディング」といって、新郎新婦の愛犬も一緒に挙式に参列できるプランもあるそうです。

ずらり60コ並ぶドッグキャビン

とにかくヒトだけでなく犬へのおもてなしの心が随所に感じられるシェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル。でも、ホテルマンとしてのサービスを超えた意気込みも感じました。ニコニコ顔で話していた生沼久副総支配人の言葉を紹介しましょう。

「私、個人的に(ドッグ・ラバーズ・スイート)には強い想いが入っています。犬が大好きなんですが、いま犬を飼えないので……たくさんの犬に会いたいです。これからお客様の犬に毎日会えるのが楽しみなんです」

オープンしたてのため、まだ茂っていない犬のトピアリー。立派な姿になる日が楽しみ♪

犬が大好きなホテルマン、一流のシェラトン、一流のホスピタリティ。夢の国で遊び疲れたあとも、愛犬と一緒に安心して心地よく夢の続きが見られそうです。これは都会で犬暮らしを楽しむ、ひとつの醍醐味といえるでしょう。朝、起きたら、海沿いの土手が公園として整備されているので、東京湾とゲートブリッジを眺めながら愛犬とお散歩を楽しむこともお忘れなく。その時間も忘れられない思い出となるはずです。

犬のあしあとマークをたどっていくと「ドッグ・ラバーズ・スイート at トーキョーベイ」の入り口へ誘導されます

 

ABOUTこの記事をかいた人

白石 花絵(しらいし・かえ)

雑文家、ドッグ・ジャーナリスト。夫1、子ども1、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターのクーパー、ボクサーのメル、黒猫のまめちゃんと東京都庁の見える街で暮らす。広島修道大学法学部法律学科卒業、その後広告制作会社でコピーライターを経験したのち、公益財団法人世界自然保護基金WWFジャパンの広報室に勤務。それからフリー。「日本にすむ犬が1頭でも多くハッピーになること。日本の犬がもっと社会から理解され、市民権を得られるようになること」、そのための記事を書くことがライフワーク。著作に『東京犬散歩ガイド』『うちの犬―あるいは、あなたが犬との新生活で幸せになるか不幸になるかが分かる本』、構成・文として『ジャパンケネルクラブ最新犬種図鑑』等。