【Vol. 04】犬と堪能するクラシックカー・ショー!IN SWEDEN[Sponsored by Volvo Car Japan]

世界有数の福祉国家として名高く、犬をはじめとする動物に対する福祉でも世界最高水準の国のひとつである北欧スウェーデン。この国で誕生し、現在に至るまで一貫して安全かつ丈夫な車を作り続けている「VOLVO(ボルボ)」の協賛により、スウェーデンにおける人と犬、そして車との関わり合いについて、フォト・レポートをお届けします。レポーターは、スウェーデン在住22年のドッグ・ジャーナリストであり、連載「北欧、犬暮らし」でもお馴染みの藤田りか子さんです。バックナンバーはこちらから。


文と写真:藤田りか子、協力:Mats Heder

スウェーデンにおけるクラシックカーショーは犬好きの格好の青空イベントだと前回お話しした。車に特に興味がなくとも、クラシックカーショーは歴史的な車のデザインを見れるという面でも実はとても楽しい。犬連れが集まるから、犬を見る楽しみも。モーターショーには綺麗なお姉さんがミニスカートで彩ってくれているけれど、カントリーサイドで開催されるクラシックカーショーなら定めし地元の犬が!

私もラッコで犬連れ。やってきたのは、ノルウェーの国境近く。オールイェング市の自治体が地元のクラシックカー・クラブと共同で開催している超ローカルなショーだ。出陳の対象となる車はクラシックカーであればなんでもいいのだが、今回は特にボルボのスウェーデンPVクラブアマゾン・クラブを招聘してのショー。だからたくさんの古いボルボ・カーを見ることができた。やはり地元スウェーデン、ボルボなしには語れない!

ボルボ・アマゾンがたくさん!

ボルボのレトロカーといえばアマゾン!50年代の中頃から1970年代にかけて生産された乗用車。そしてアマゾン(そしてPV544)こそ、ボルボの安全性の歴史的象徴とも言える。1959年に世界初の3点式シートベルトがPV544に装着され、同年アマゾン122には標準装着された。今回のショーでは、この車種の出陳が一番多かった。ただしスウェーデンではショーに行かずとも、今でも路上でよく出会う。人気は根強い。交通局の統計によると現在なんと約15000台のアマゾンが現役で走っているとのこと。

ボルボ・アマゾン121(ボディはP130)。この写真のタイプは1960年代後半のモデル。アマゾン121は60年代のスウェーデンにおける最も一般的なファミリーカー。

車内にはもちろん犬!60年代のグッズだ。出陳者のこういう凝りかたがニクい。この犬の人形(おそらくダックスフンド)は、車のインテリアとして60年代にとてもポピュラーに。振動を受けるたびに首が上下にフラフラと揺れる。題して「頷きドッグ」。クラッシック・カーマニアの店でオリジナルがたまに売られている。

これもアマゾン121(ボディはP130)。60年代後半のモデル。

アマゾン121。いかにもドッグ・トレーニング・フリークなお姉さんと一緒にいるのはスタフォードシャー・ブル・テリア。ヨーロッパでは人気、庶民的な犬種。車種と犬種のマッチがよろしい。

60年代初期のアマゾン121。このタイプのアマゾンは車の色に関係なくハブキャップ(ホイールを固定する部品)に赤のマークが。ツードアのファミリーカー。アマゾンの中でも特に人気の車。

B18 というのはエンジンの種類。それ以前のB16型よりもさらにパワーアップ。

このモデルは最初のアマゾンとそれほど変わってないのだが、リアドアのハンドルがチェンジ。

60年代後期の頃のアマゾン121(ボディはP130)。

こんな風にスウェーデンの往来でアマゾン121(ボディはP120)に出会うことは珍しくないのだ。クラシックカーに乗っている人に手を振るとたいて振り返してくれる。やっぱり自分の車、誇らしいもんね。

大衆的なアマゾンではあるが、このアマゾンGT123はスポーツカータイプの車。

非常にレアでありそれゆえ希少価値が高い。普通のスタンダードタイプのアマゾンよりもエンジンはパワフル。ラリーよりもスポーツ・ドライビング、レーシング用として好まれた。

そしてダッシュボードの上に必ずタコメーターが標準装備として備わっているのもこの車の特徴。スポーツカーだけに地図を置くラックもダッシュボードに備えられた。

アマゾンからボルボの典型的エステートカーへ

生産台数が少なかったため、アマゾンの中でも現在非常にレアなクラシックカー、アマゾン・エステート。エステート・カーといえば、ボルボのトレードマークのようなものだが、これはその最初のタイプ。もちろんファミリーカー。1962年に登場。これまた庶民的なフォックステリア君がモデルになってくれた。60年代といえば、スウェーデンではジャーマン・シェパードが圧倒的な人気となった。このようなファミリー・エステート車の登場はシェパードのような大型犬愛好家にとって非常に役立ったことだろう。

B20というエンブレムに注目。エンジンはこちらではB20型。さらにパワフル。実はこのようなエンブレム・パーツもクラシックカーマニアにとってはとても大事なディテール。ネットで買うこともできる。生き物相手の犬愛好家にはやや遠い世界かも!

そしてアマゾン・エステートからこう進化した!典型的なボルボのエステート・カー、ボルボ245。80年代エステートカーの中で最も人気を博した。スウェーデンのアイコンとも呼ばれている。まだクラシックカーの殿堂入りを果たしていないものもあるが、すでにマニアのコレクションの一つになりつつある。この車、 240シリーズなのだが、 245と呼ばれるのは、最後の数字5がファイブドアという意味だから。そうリアドアが5つ目のドア。そしてこのドアを開けると荷台の悠々スペースが広がっている!だから今でも犬の飼い主の間では、とても需要の高い車だ。ちなみに 私が初めてスウェーデンで飼った犬はこの写真のモデル犬と同様レオンベルガー、そして初めて買った中古車はボルボ245であったのだ!時は90年代…。そういえば、最新モデルのXC90はラグジュアリーでありながら荷室も広い!ボルボが犬の飼い主のニーズに応えてくれたのかも?

ボルボPV

こちらはボルボのいわゆるPVと呼ばれる乗用車。正式な名称はPV444 だが、スウェーデンではPVといえばこの車(とPV544)をさすことになる。アマゾンよりも一つ前の車。1946年から60年代に入る少し前まで生産されていた。なので見かけもアマゾンよりさらにレトロ調。そしてボルボ初の大衆カーだ。PVというのはスウェーデン語Personvagnar(乗用車)の略。ちなみに車のトップに突き出ているのはウィンカー。フィックスライトとも呼ばれ、PV444 Bモデル(1950年)において導入された非常にユニークな特徴(しかしこのタイプの方向指示器は2年後に法律によって廃止となった)。

後ろに二つ窓がある。ただしこれは1955年までのもの。

PV444の次に出たのがPV544。すでにアマゾンが発売されていたのだが、アマゾンよりも安価ということで、60年代やはりとても一般的な車であった。

こちらはPV544でも超レア物!VOLVO 544 Sportと呼ばれるタイプであり、名前の通り、スポーツカー。というかボルボが世界に誇るスポーツカーの一つともなった。1965年サファリラリーで優勝したのがまさにこのタイプ。強力なエンジンを搭載し、60年代ラリーの世界において大活躍した。ただし多くがレースで壊され、それゆえに今この車は非常に希少となった。そしてモデルとして立ってくれたのは、スポーツカーにふさわしい、犬世界のスーパースポーツドッグ、ボーダーコリー!

Thanks to Mats Heder

さて今回は、犬よりもボルボ・クラシックカーのお話が中心になったのだが、この取材と車のディテールについてヘルプをしてくれたのは、クラシックカーのコレクター、モーターヒストリー家でもあり機械工学博士のマッツ・へダーさん。

そして取材中、主催者のパブリックショーでインタビューを受けた。何をしているのですか、という質問にマッツさん、

「日本のINU MAGAZINE(イヌマガジン)でのボルボカー・ジャパンの記事のための取材です」

と答えると、会場から一斉に拍手!


ABOUTこの記事をかいた人

藤田りか子

ドッグ・ジャーナリスト。スウェーデン・ヴェルムランド県の森の奥、一軒家にて、カーリーコーテッド・レトリーバーのラッコと住む。人生のほぼ半分スウェーデン暮らし。アメリカ・オレゴン州立大学野生動物学科を経て、スウェーデン農業大学野生動物管理学科にて修士号を得る。 著者に「最新世界の犬種図鑑(誠文堂新光社刊)」など多数。新しい犬雑誌「Terra Canina(テラカニーナ)」編集及び執筆者