【Vol. 02】ボルボで行く犬連れドライブ in ヴェルムランド [Sponsored by Volvo Car Japan]

世界有数の福祉国家として名高く、犬をはじめとする動物に対する福祉でも世界最高水準の国のひとつである北欧スウェーデン。この国で誕生し、現在に至るまで一貫して安全かつ丈夫な車を作り続けている「VOLVO(ボルボ)」の協賛により、スウェーデンにおける人と犬、そして車との関わり合いについて、フォト・レポートをお届けします。レポーターは、スウェーデン在住22年のドッグ・ジャーナリストであり、連載「北欧、犬暮らし」でもお馴染みの藤田りか子さんです。バックナンバーはこちらから。


文と写真:藤田りか子
撮影協力:HELMIA BIL AB, KARLSTAD

スウェーデンの名所といえば、 ストックホルムにイェーテボリ、あるいはダーラナ地方がメジャーなところ。だが、西ヨーロッパで最も大きな湖ヴェーナンを南部に持つヴェルムランド地方を忘れてはいけない。面積は四国ほどの広大なエリア。そう、だからこそ車が必要。そして、同じ運転をするなら、スウェーデンの誇る世界の車、ボルボなのだ。 ボルボのSUV、最新のXC60 Classicをドライブしながら、ヴェルムランドの自然を巡ってみました!

ドイツ人にも人気、森と湖のヴェルムランド

ストックホルムなら王宮、旧市街(ガムラスタン)など、名所に溢れている。だが、ヴェルムランド、何か特に際立った街や建築があるわけではない。行けども行けども、森と湖の繰り返しである。いや、実はそれを味わうのがヴェルムランド式スウェーデンの楽しみ方!ちなみに、バカンスの季節になると、ヴェルムランドにはドイツとオランダから車で観光客が大挙してやってくる。彼らが求めるのは他でもない、広々とした自然。ヴェルムランドは知る人ぞ知る、ヨーロッパでも人気の観光スポットなのだ。

さて、私と犬のラッコ、そしてボーイフレンドのカッレも、 思い立ったが吉日、南部ヴェルムランドをドライブすることにした。スウェーデンのマッテとフッセ(犬を飼っている女性と男性という意味)の間では断然人気のボルボのSUV(XC)に、犬のケージやグッズ、バーベキューセットなどを載せて、ヴェルムランドの県庁都市カールスタッドからまずは国道63号に乗りフィリップスタッドへ向かった。

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スウェーデンの空はその国旗の ごとく、ひたすら青い。そして、森が国道沿いにこうして延々と続く。この松の森の中は、実はサラサラの砂でなりたっている。氷河期の名残モレーン(氷河の流れによってもたらされた堆積物)だ。

人口が集中しない

スウェーデンをドライブして気がつくことは、都市と都市の間に距離があるということ。東京のようにひたすらビルや住宅街が延々と続くことはない。町(あるいは都市)が終われば、そこから森が延々に続く。そして次の町(あるいは集落)まで一時間、というのも珍しくない。こんな状況だから、スウェーデンの中規模都市に住んでおり、そして犬を飼っているのであれば、まず車なしに実際の生活は機能しないし、お楽しみもありえないだろう。トレーニングするにしろ、車ではないと仲間の集まる場所に行けない。自然へのアクセスもやはり車がないと…!

町と言ったが日本の規模ではない。フィリップスタッドだって人口6千人ほど。この程度の町が、あちこちに点々としている。要は人が少ないのだが、スウェーデンでは道路のインフラはしっかりしている。この点は隣国のノルウェーよりも優れている。道は広々、そしてよく舗装されている。冬の間アスファルト下の水が凍って、よく道が割れてしまうのだが、修復作業は毎年抜かりなく行われている(伊達に高い税金を払っているわけではない…)。交通渋滞とは全く無縁のこの大自然の中、SUVタイプの車に犬を乗せて走るというのは、 ロードトリップになるほど楽しく一つのイベントになる。そして車旅が多いからこそ、車内が快適であること、そしてなにより安全であることは、人にとっても犬にとっても重要だ。後ろのケージの中には居心地よく過ごせるようにフカフカのマットレスを敷いていて、ドライブの間ラッコはそこで眠りこけるのだ。

フィリップスタッドにて。この街はスウェーデンで国民的なポテトチップスのメーカー、OLW(オーエルヴィ)の本社があるところ。古い木造の建物が並ぶ、小さいけれどとても感じのいい町。町の喫茶店でフィーカ(お茶)をした。スウェーデンの大都市もいいが、このような誰も知らない小さな町も、味があり、観光スポットとしてはオススメだ。
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フィリップスタッドの街並み。町の中なのに、ほとんどが木造の建物であることに注目!中部スウェーデンらしい。これが大陸側のヨーロッパであると、こんな小都市であればほとんどがレンガや石造りになるのだが。
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フィリップスタッド周辺の森の中は、赤い砂地。モレーンである。犬の飼い主たちは、このような下草のない見通しのいい森に入って、犬をトレーニングするものだ。

長時間犬を閉じ込めたままのドライブは禁止

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人が長時間の運転の際に何度か休憩を取るように、犬も外に出て体を伸ばす必要がある。やはりいくら快適とはいえ、ケージの中。体はすっかり固まってしまっている。さてこの点に関して犬たちはスウェーデンの法律にて保護されている。動物保護法の中にある、犬の運送に関する規則だ。そこでは三時間以上犬を車に閉じ込めてはいけない、と定めている。この法律は、当たり前のようなことを言っているようにも聞こえるが、しかし存在してくれていて、とても助かるのだ。なぜなら、ヨーロッパ道のような大きなハイウェイを運転していると、うっかり四時間ぐらい休憩なしで走り続けてしまうこともある(道路の状態もいいし、渋滞もないし、それほど疲れない)。またこの法律があるおかげで、飼い主はやはり犬のウェルネスについて常に意識をするようになる。三時間経たなくとも、頻繁に車から出してあげるという態度を身につける。

フィリップスタッドを出て森に囲まれた国道を一時間ほど走ったら、我々はラッコを外に出した。そして森道をしばらく歩き、リフレッシュさせた。犬がいると、人も頻繁に外に出るから、脳がそれほど疲れないで済む。これは安全運転にもつながるので一石二鳥だ。

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スウェーデンの高速道路沿いには、日本のようなお土産屋とレストラン、そしてトイレが林立するパーキングエリアはない。ドッグランだなんてもってのほか。パーキングエリアには、ただベンチがあるのみ。だから犬の気晴らしをさせてあげるには、こうして道中の湖を使って元気になってもらう。湖はヴェルムランドにはあちこちにある。道路沿いにもたくさん!

「ニルスの不思議な旅」の著者、セルマ・ラーゲルレーヴ邸は観光名所

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フィリップスタッドからノルウェー方面に80km。またもや森、森、森の国道を抜け、広大な農地を横切る。モルバッカという小さな村に入るのだが、ここには世界が誇るスウェーデン文学者の一人、セルマ・ラーゲルレーヴの邸宅がある。彼女は、スウェーデン人初(そして女性初)のノーベル文学賞作家。日本では子供文学「ニルスの不思議な旅」の作者として有名だ。現在セルマの家は、記念博物館として、夏の間オープン。しかし、これまた公共の交通機関もない森のど真ん中。パーキングにはドイツナンバーのキャンピングカーが何台も駐車されていた。むしろ外国やヴェルムランド外からの観光客に人気があると見える。我々は、犬連れなので、博物館入りは断念。少しの時間でも犬を車の中で待たせるのは、外の気温が高く、はばかれた。しかし、お庭なら犬も入場OK。カフェテラスもあるので、ここでゆっくりとフィーカである。

ドライブの締めくくりは秘密の湖畔で

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ポータブルバーベキュセットと石炭を持って行けば、どこでもバーベキューを行うことができる。

さてドライブの締めくくりは、やはり湖畔に限る。沈む夕日を拝むのだ!スウェーデンで一番、いや、西ヨーロッパで一番大きな湖ヴェーナン湖がヴェルムランドの南端にある。そこまで一時間半をかけて一気に南下。ここも、ドイツ人観光客に人気らしく、いくつものドイツナンバーの車に出会った。しかし我々が目指したのは、実は観光客では絶対に知り得ない秘密の湖畔。森林の小さな砂利道に入り、さらに右に左に曲がりたどり着く。地元の人しかこんな場所は知らない。素晴らしいお天気にもかかわらず、湖畔には我々だけ!ここなら犬を放しても大丈夫!

車からバーベキューセットを取り出し、夕食の用意。帰りの運転は相棒に任せた!私はビールを飲む。スウェーデンの夏。短い夏。でも1日存分に車旅を楽しんだ。陽がヴェーナン湖の水平線へ沈んでいった。

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夕日に黄昏れるラッコ?いや、実は沖にいるガンに見入っているのだ。

 

ABOUTこの記事をかいた人

藤田りか子

ドッグ・ジャーナリスト。スウェーデン・ヴェルムランド県の森の奥、一軒家にて、カーリーコーテッド・レトリーバーのラッコと住む。人生のほぼ半分スウェーデン暮らし。アメリカ・オレゴン州立大学野生動物学科を経て、スウェーデン農業大学野生動物管理学科にて修士号を得る。 著者に「最新世界の犬種図鑑(誠文堂新光社刊)」など多数。新しい犬雑誌「Terra Canina(テラカニーナ)」編集及び執筆者