犬学という大海原への羅針盤「TERRA CANINA(テラカニーナ)」創刊

人が情熱を燃やす対象は様々。映画や音楽、写真や絵画、ヨガやサーフィン、最近ならポケモンGOもそのひとつだろうか。そして、もちろん「犬」もそう。更に、仮に子犬時代から犬を飼い始めたとしたら、犬との暮らしは十数年続くことになるのだが、自分自身を振り返ってみても、十数年もの間、情熱が続く対象というものはなかなかない。

もちろん命ある犬との暮らしは飽きたからといって投げ出して良いものではなく、だからこそ飼い始める前の熟慮が必要である。

先程挙げた様々な情熱の対象に没頭する人達のなかには、好きが高じて生業としプロフェッショナルとなる人達や、生業とはしなくてもプロ顔負けの知識や技術を持つマニアやオタクと呼ばれるような人達も存在する。

そして、そういった世界には、映画や音楽といったメジャーなものからニッチなものまで、マニアやオタクと呼ばれるコアなファン達に愛され続ける専門媒体なるものが存在する。ニッチなものの例を挙げると、講談社ビーシー/講談社が発刊しているバス好きのためのバス情報雑誌「バスマガジン」という専門雑誌は、美しい写真と詳細なデータ、大胆な企画と緻密な取材で日本中のバスを愛するコアなファン達を十年以上に渡り魅了し続け、バスに情熱を燃やす人達の知識の源となっている。バスを愛する皆さんには申し訳ないが、正直驚きだ。

それでは、「犬」の世界はどうだろうか?

減少傾向とはいえまだ多くの紙媒体が発行されており、最近ではWEB上にも犬に関する情報を取り扱うメディア(サイト)が多数存在する。しかしながら、その多くは飼い始めたばかりの人に対する入門情報やハウツーの域を出ず、WEB上の情報に至っては根拠すらも不明確な情報や単にかわいい犬猫の動画を紹介するだけのようなサイトも散見され、十数年続く犬との暮らしをマニアックかつ正しく極めたいと考える愛犬家達のニーズを満たすものは少ない。

一般社団法人ペットフード協会の調査(PDF)によると、2015年時点での犬の飼育世帯数は約800万世帯、全世帯の約15%では犬が飼われており、バス好きの皆さんには怒られるだろうが、バス好きよりは犬好きのほうが遥かに多いだろうにも関わらずだ。

前置きが長くなってしまったが、そんな正しくマニアックな情報に飢えている、犬を情熱の対象として犬と共に生きる日本の愛犬家のために、ついに「本物」と言える犬媒体が誕生した。

犬学という大海原への羅針盤「TERRA CANINA(テラカニーナ)」創刊

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※出典:http://terracanina-magazine.net

その名は「TERRA CANINA(テラカニーナ)」。

「TERRA(テラ)」とはラテン語で「地球」、「CANINA(カニーナ)」とは「犬(複数形)」を表す言葉であり、意訳して「犬たちの世界」(「テラカニ・ブログ」より)。犬を学問的に論じるときに使われる「Canis lapus familiaris(カニス・ルプス・ファミリアリス)」というラテン語が由来であり、犬にまつわる様々なことを「犬学」的アプローチから真面目に掘り下げ、質の良い情報を提供していくという編集者・執筆者達の意図を表す。

「TERRA CANINA(テラカニーナ)」の豪華すぎる執筆陣

はたして「TERRA CANINA(テラカニーナ)」の何が「本物」なのか?

それは同誌の執筆陣を見れば一目瞭然だ。

アルシャー京子、尾形聡子、藤田りか子、白石花絵という世界中で活躍する日本人ドッグ・ジャーナリスト達が、自分達が読みたい犬媒体を自分達の手で作り上げたのが「TERRA CANINA(テラカニーナ)」である。

その豪華すぎる執筆陣について紹介しよう。

アルシャー 京子(あるしゃー・きょうこ)

ドッグ・ジャーナリスト。ドイツに住んで18年。ドイツ人の夫と子ども1人とサルーキのボダイと、ベルリンで暮らしている。杏林大学保険学部卒業、その後ベルリン自由大学獣医学部を卒業し、ドイツで獣医師となる。ドイツ連邦獣医師会会員、公認『犬の飼育資格(通称 “飼い主免許”:D.O.Q-Test 2.0』実技試験官でもある。いままで犬に関する情報は、アメリカやイギリスなど英語圏のものが主流だったが、彼女がドイツ語圏を加えたヨーロッパの犬事情や動物保護事情を、日本語でインターネットやセミナー等で広く発信してくれたおかげで、今までの常識を覆すような新鮮で興味深い知識が日本にもたらされた。これからも本誌にて、さらに深く考察してくれる。犬と動物と自然を感じるときが幸せという彼女、趣味は「犬」のほか、本当はアリンコも愛でていた。

尾形 聡子(おがた・さとこ)

ドッグ・ライター、サイエンス・ライター。アメリカ在住中に飼い始めた、日本ではめずらしいスパニッシュ・ウォーター・ドッグのたろう&はなと一緒に帰国し、現在東京に住む生粋の江戸っ子。慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、映画会社に勤務。その後、東京大学大学院農学部生命科学研究科修士課程に進み、同大学院修士課程修了。著作に『よくわかる 犬の遺伝学:健全性から毛色まで、知って役立つ遺伝の法則』があり、一見とっつきにくい遺伝学について、わかりやすく教えてくれる。さらに、リリースされたばかりの世界の犬トピックを探し、日本語で紹介することにも長けている。本誌でも、犬の福祉のために避けては通れぬ遺伝子疾患などの情報をはじめ、フレッシュでアカデミックな記事を紹介してくれる。年2回、彼女自身が毛刈りをするときの、たろう&はなの変貌ぶりは必見。

藤田 りか子(ふじた・りかこ)

ドッグ・ジャーナリスト。カーリーコーテッド・レトリーバーのラッコと、ガンドッグにとってこれほどハッピーな環境はない自然豊かなスウェーデン・ヴェルムランド県の小さな村に住む。スウェーデンに住んで22年。人生のほぼ半分がすでにスウェーデン在住で、気をつけないと日本語のお喋りがあやうくなるほど北欧濃度高し。学習院大学卒業後、アメリカ・オレゴン州立大学野生動物学科を経て、スウェーデン農業大学野生動物管理学科にて修士号を得る。犬の繁殖管理や福祉の先進国スウェーデンはじめ北欧の犬事情はもとより、ヨーロッパ各地の純血種の知識に詳しい。著書に『最新世界の犬種図鑑』、また北欧のドッグ・トレーナーとの共著『「犬と遊ぶ」レッスン テクニック』等も好評。原稿を書いていない日は、たいていラッコのノーズ・ワーク(嗅覚を使うドッグスポーツ)に夢中。

白石 花絵(しらいし・かえ)

雑文家、ドッグ・ジャーナリスト。夫1、子ども1、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターのクーパー、ボクサーのメル、黒猫のまめちゃん、コリドラス数匹と東京で暮らす。広島修道大学法学部法律学科卒業、その後広告制作会社でコピーライターを経験したのち、公益財団法人世界自然保護基金WWFジャパンの広報室に勤務。それからフリーになる。訴求力の高いコピーの力とNGO時代に培った啓発活動を推進する力を使って、日本の犬がもっと社会から理解され、市民権を得られるようになればいいなと思っている。著作に『東京犬散歩ガイド』『うちの犬ーあるいは、あなたが犬との新生活で幸せになるか不幸になるかが分かる本』、構成・文として『ジャパンケネルクラブ最新犬種図鑑』等がある。ヒマさえあれば、クーパーとメルを連れてお山に爆走に行きたがっている。

(引用:テラカニーナとは|テラカニーナ編集室メンバー

それぞれの執筆陣のプロフィールをご覧になっていただければお分かりのように、アメリカやイギリスといった英語圏のみならず、動物福祉の先進国であるドイツや北欧スウェーデンといった世界中の先進的な犬事情や、獣医療や遺伝学に関するアカデミックなバックグラウンドと豊富な経験・知識をベースとした正しい情報を得ることができるのが、「TERRA CANINA(テラカニーナ)」という媒体の特長である。

「TERRA CANINA(テラカニーナ)」の内容は?

「TERRA CANINA(テラカニーナ)」は、季刊誌として発行される電子書籍(製本対応も準備中)であり、各号は、特集・小特集・複数の連載コラム・ライターがピックした厳選アイテムの紹介といった内容で構成される。そして、各記事の間に挟み込まれる美しい犬達のグラビアの数々も大きな魅力だ。

記念すべき創刊号である「TERRA CANINA(テラカニーナ) Vol.1|2016 Summer号」の特集は、ブリーディングの側面から見た「健全なる犬種のあり方」を探る『ブリーディングの倫理と管理』。ブリーディングという「生命の誕生」に関わる行為を取り上げた、まさに創刊号に相応しい特集である。特集前半の執筆は、動物福祉の先進国でもある北欧スウェーデン在住の藤田りか子氏。ブリーディングに携わる者が本来持つべき倫理観から始まり、ブリーディングという行為が本質的に持つ遺伝的リスクを回避するために北欧をはじめとするヨーロッパで行われている集団管理の取り組みを紹介する。特集後半は「犬種が抱える遺伝的背景」について遺伝学を得意とするサイエンス・ライターの尾形聡子氏が執筆。学生時代に生物の授業で出てきた遺伝の話では眠くなってしまったという方も、尾形聡子氏のわかりやすい説明と、何より犬が題材であるということで身近に捉えられるのではないだろうか。

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一般にホワイト・シェパードと呼ばれているこの犬種、FCI(国際畜犬連盟)における公認原産国は、なんと、ドイツではなく、◯◯◯!正式な名前も「ホワイト・◯◯◯・シェパード・ドッグ」 さて、◯◯◯に入る国名がお分かりになるだろうか? 回答は「TERRA CANINA(テラカニーナ)」のFacebookページをチェック!(※写真提供:藤田りか子)

「TERRA CANINA(テラカニーナ)」の入手方法

「TERRA CANINA(テラカニーナ) Vol.1|2016 Summer号」は、公式サイトのダウンロードボタンからDLマーケットにて購入できる。これだけの情報の質と量で880円+税というのはお買い得と言っても良いだろう。

「TERRA CANINA(テラカニーナ)」は一度読んで終わりという媒体ではない。おそらく多くの読者にとっては難しい内容も含まれるため、幾度か読み返すことで更に理解が深まるはずだ。また、これからも続く犬との暮らしのなかで、改めて引っ張り出して読み返したくなることもあるだろう。

そして「TERRA CANINA(テラカニーナ)」を読み、書かれた内容を理解された方には、是非そこで得た知識を周りの犬友達やこれから犬を飼おうと思っている人にもお伝えすることをお勧めしたい。「TERRA CANINA(テラカニーナ)」は、言語的な壁もあり、これまでは目に触れる機会のなかったような世界中の先進的な犬にまつわる正しい情報を得られる数少ない情報源である。TVCMなどに踊らされた「犬ブーム」ではなく、健全な「日本の犬文化」を作り上げていくためには、まずは我々愛犬家一人一人が高いレベルのグローバルスタンダードな知識を得て、生涯の友である犬についてより深く知ることが第一歩となるだろう。

 

 

犬オタクの犬オタクによる犬オタクのための雑誌「TERRA CANINA(テラカニーナ)」創刊!予告号を無料ダウンロード提供中

2016.07.05

 

※トップ画像提供:藤田りか子

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