知っていると便利なトイレキュー

文と写真:三井 惇

子犬を迎えると一番最初に気になるのがトイレトレーニングではないでしょうか。
部屋のあちらこちらでトイレをされてしまうと、飼い主としては一日中掃除していなくてはならず、人も犬もストレスになってしまいます。そこでパピーレッスンでは、まずトイレを決まった場所で出来るようにする日常マナーを早々に教えます。

家の中の決まった場所でトイレが出来るようになって粗相することもなくなり、そのうちお散歩の途中でもトイレが出来るようになってしまうと、トイレトレーニングはもう終わったと思う方が多いのですが、実はもう一歩進んで、トイレコントロールが出来るようになると、お出かけの際のストレスが軽減します。

トイレコントロールって何?

犬はもちろん、トイレをしたいときにするわけで、「するな!」ということは出来ません。
でも、やって欲しくない場所でさせないために、ある程度コントロールすることが出来ます。
「コントロール」と言うと、人間の傲慢だとか言われてしまいそうですが、飼い主と一緒にお出かけする機会が増えた現代の犬たちが、のべつまくなしに好きなところで勝手にトイレをしてしまうというのは、周囲の迷惑にもなるので気を付けたいところ。

かわいい愛犬のものでも、臭いものは臭いし、ましてや見ず知らずの犬の残していったものが玄関前にあったり、臭いが染みついていればイラッとしない人はいないのではないでしょうか。

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そこで、出来れば家でのトイレ習慣を徹底したいものですが、それは生理現象、うまくいかない場合もあります。でも、もしこれからカフェに連れて入るとか、お友達の家に行くとわかっていれば、粗相させてしまう前にトイレをさせておくと、飼い主としても慌てずに済みます。つまり、「ここでトイレを済ませていこうね。」と言ったときに、ちゃんとトイレが出来るようにするというのが「トイレコントロール」です。

トイレコントロールとドッグダンスってどう関係あるの?

ドッグダンスに限らず、ドッグスポーツの競技に出る時、競技中の排泄は「失格」になることが結構あります。
「そんなこと言っても、生理現象なんだからしょうがない」というのは競技関係では通用しません。

ドッグダンスも、競技レベルでない発表レベルであっても、一頭が排泄してしまうと、あとからリングに入った犬が臭いで集中力をそがれ、ハンドラーの声が聴こえなくなるということもあります。場合によっては、臭いにつられて、次の参加犬も排泄してしまう可能性もあります。特に男の子にはよくあることです。

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今から15年くらい前のことですが、訓練競技会に参加していた時のことです。私の3番前の出陳犬が、競技の途中でトイレをしてしまいました。もちろん失格です。
次の出陳者が競技リングに入って競技を始めた時、その犬も同じ場所でしてしまいました。
それを見たその次の出陳者は、あわてて自分の犬を競技リングの脇にある草地に連れて行き、草の匂いを嗅がせながら、トイレをさせようと歩き回っていましたが、結局その犬はトイレをせずに競技リングに入り、やはり同じ場所でトイレをしてしまい失格。
私は2頭目の犬が排泄してしまった時点で、自分の犬を連れて草むらに移動しながら、トイレのキューを犬に出しました。つまり愛犬に「ウ〇〇は?」と聞いたのです。するとちょっと周りの匂いを嗅いだ後に、彼女はトイレをしました。もちろんその日の朝に済ませていましたが、万が一を考えて声をかけてみたのです。おかげで彼女は失格することなく、無事競技を終了することが出来ました。

トイレコントロールの方法は?

トイレコントロールというのは、トイレのキューを愛犬に言って、トイレを済ませてもらうと言うもの。
まずはトイレのキューを決めます。
盲導犬などでは「ワン・ツー」というキューを使うことがありますが、我が家の場合は「大」と「小」を分けてキューを出しています。そのままの言葉ですので、犬と関係の無い方が傍にいる時は言いづらいのですが仕方ありません。

では、どうやって犬に言葉とトイレを関連付けるのでしょうか。
犬のトイレのタイミングは大体決まっています。朝起きた時やごはんのあと、寝起きなどなど。
そのタイミングでトイレスペース(トイレシーツなど)に誘導してトイレのキューを囁きます。
もし間に合わない場合でも、トイレをしているのを見かけたら、やさしく声掛けを繰り返すだけでもOKです。これを繰り返してあげることで、トイレの行為とトイレのキューとが関連付けられていきます。
くれぐれも大きな声で犬を脅かさないでくださいね。

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トイレのタイミングで声をかけ続けていると、犬にとって安全な場所に誘導したときに、トイレのキューを出すと、いつもの馴れた場所でなくてもトイレをしてくれるようになります。外でトイレが出来るようになったあとでも、トイレシーツを敷いて声掛けしてあげれば、周囲に迷惑をかけることもありません。

お散歩途中のカフェや、旅先のサービスエリア、ペンションなどなど、粗相しては困る場所に入る前に声かけすることで、「あっ!」と言うことが無くなりますよ。

ABOUTこの記事をかいた人

三井 惇

ドッグトレーナー(CPDT-KA) ボーダーコリーと出会ってから生活が一変し、現在4頭目と5頭目のボーダーコリーとドッグダンスやオビディエンス(服従訓練)を楽しむ一競技者。