愛犬が気が利く秘書に大変身!愛犬の遊びの定番「持って来い」

文と写真:三井 惇

ちょっと前まで犬との遊び方がわからないという愛犬家の声がよく聞かれたのですが、最近では海外からの様々な情報もあり、「犬と遊ぶ」ということが大分一般的になってきました。

追いかけっこやひっぱりっこ、ボール投げなどなど、犬と遊ぶ方法は様々です。

ちなみに、我が家の定番の遊び方は「持って来い」です。合図の言葉(キュー)は「テイク」ですが、これはなんでもかまいません。飼い主と犬との符丁(ふちょう:合言葉)のようなものですから。

我が家のボーダーコリーはもともと走ることが大好きな犬種ということもありますが、犬は本来動いているものを「追いかける」ことが好きなので「持って来い」は比較的簡単に覚えてくれます。

最初は愛犬の大好きなおもちゃに興味を持たせることから始めるのが早道です。

一度走って取りに行くことが好きになると、犬たちは早く投げろと催促するようになります。

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ボールを咥えて走ってくる愛犬のVINは「持って来い」遊びが大好き

愛犬を気が利く秘書に

「テイク」のキューの意味を覚えてから、我が家のニコルは、おもちゃでもなんでも、「テイク」と言えば取ってくるようになりました。また床に落としただけもすぐ拾ってくれるようになりました。頼りになるパートナーです。

車から降りる時に手袋を落としても、「テイク」と言って手袋を指せばすぐ拾ってくれます。「自分で拾えばいいじゃないか」と言われそうですが、両手に荷物を持っていたりすると、すぐかがめないときもあるので、咥えて手の位置まで持ってきてくれるととても助かります。

先日も机に向かって仕事をしていたら眼鏡ケースがコロッと床に。「テイク」と言う前に取ってくれました。サッと拾ってくれる気遣いのある秘書がいるのも嬉しいものです。

場合によっては大工仕事だって手伝ってくれるかもしれません。

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金槌を咥える大工見習い(笑)のニコル

ただし歯型が付いて困るものはやめましょうね。力加減が難しいので、もともと優しく噛むタイプの犬であればそっと咥えて持ってきますが、がっつり咥えるタイプですと壊してしまうことがあります。ついつい「テレビのリモコン取って~!」と言いたくなりますが、壊してしまって怒られると、もう二度と手伝ってくれなくなるかもしれません。

ドッグダンスのトリックでもキュートな技

ドッグダンスは犬と一緒に踊らなければいけないと思っていらっしゃるかたが多いのですが、実は踊らなくてもいいんです。ちょっと矛盾した言い方ですが、ドッグダンスには音楽に合わせて犬と一緒にステップを踏むタイプと、音楽の持つストーリー性を表現するタイプとがあります。

ストーリーのある演技の中では、小道具を使って表現する場面も多く、そこでは犬が何かを咥えて持ってきてくれるという技がよく使われます。映画でもよく見られますが、犬が何かを咥えている様子はとてもキュートですよね。

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とってもキュートなお買い物中(!?)のチャンティ

「持って来い」はどうやって教えるの?

おもちゃを投げて、愛犬が取りに行く度に「持ってきて」などの合図のキューを言ってあげると、「持ってきて」の言葉と「持ってくる」動作が関連付けられるので、言葉の意味はすぐ覚えてくれます。

愛犬が取りに行ったら、戻って来やすいように後ろに下がりながら愛犬を自分の方に呼び寄せてあげると、飼い主のそばまで持ってきてくれます。そこでしっかり褒めてあげることがポイント。

「褒める」のは言葉だけでなく、おやつをあげてみたり、持ってきたおもちゃをもう一度投げてあげることがご褒美になったりします。愛犬がもっとやりたいと思えるようになればこっちのものです。

我が家のパートナー ニコルは、私が何か落とすとどこからともなく飛んできて拾ってくれると書きましたが、先日もう一頭の犬がソファからすべり落ちて「ガタン」と音をたてたときも彼女は飛んできてくれました。でもさすがに犬は拾えないので、ちょっぴり困惑気味。でも出動してくれたことに感謝して、おやつだけゲットとなりました。

なかなか持って来きてくれないときは追いかけたりして無理に取り返そうとすると、追いかけっこゲームに変わってしまうので気を付けましょうね。

おもちゃ以外のものでも、愛犬にとって咥えやすい形状のものや、素材を選んで練習すると、なんでも持ってきてくれるようになります。

このゲームが楽しくなってきたら、愛犬に物の名前も一緒に教えてあげるとバリエーションが増えてもっと面白くなります。例えばおもちゃでも、「カエルちゃん」とか「ウサギちゃん」とか、ただの「ボール」とか、識別していくと犬もちゃんと区別して持ってきてくれるようになりますよ。

愛犬の成長を楽しみながら、おうちの中でこんなゲームはいかがですか?

ABOUTこの記事をかいた人

三井 惇

ドッグトレーナー(CPDT-KA) ボーダーコリーと出会ってから生活が一変し、現在4頭目と5頭目のボーダーコリーとドッグダンスやオビディエンス(服従訓練)を楽しむ一競技者。