ホームパーティと犬の立ち位置

文と写真:藤田りか子

8月のスウェーデン。ちょっと秋の気配はするものの、まだまだ夏のお楽しみは残されている。夏といえば、バーベキューパーティに、スウェーデン伝統のザリガニパーティ。いずれもホームパーティが基本。その時の犬たちの立ち位置とは?家族と一緒に参加する?

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夏のホームパーティといえば、これ!スウェーデンではバーベキュー・パーティが盛んになる。スーパーにはバーベキュー用にマリネードしてある豚肉がたくさん売られる。写真の 赤い肉がそれ。

犬を飼っているのなら家庭でのパーティの方がよし!

日本や他の欧米国に比べ、スウェーデンには外食をするという習慣があまりない。特に私の住むような田舎地方であれば、日曜の夕方ともなると街の広場は閑散としている。スウェーデンに移住したての頃は、これが不思議でならなかった。食となると、やはり何かと家庭が中心となる。そして友人や親戚同士が集まる時でも、自宅でもてなすのが一般的だ。

これは犬を飼っている人にとっては、ちょうどいい。なんといっても飲食店に犬を連れて入るのは、ほとんどのところで禁止されている。他の欧州国に比べても、スウェーデンはかなり厳しい。ただし犬が汚いから、というよりも、「動物アレルギーの人」への気遣いがその理由だ。スウェーデンにおける動物アレルギーの割合は15%ほどと言われている(ネット統計を見ると日本では4%とのこと)。

ホームパーティでのエチケットは守って

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天気が良ければ、ベランダや庭のテーブルに皆揃って座り、夕食を楽しむ。なんといっても日が長い。夜の8時でも陽はさんさんとしている。こんなとき、犬も一緒に参加することもあれば、部屋の中で待機をさせられることも。これは家庭によるだろう(そして犬のしつけられ度合いにもよる!)

家庭でパーティをすると言っても、ゲストをもてなすのだから 、レストランに入った時と同様に、飼い主は自分の犬のエチケットについて 十分責任を持たなければならない。ならばスウェーデン人のマッテとフッセは 、ホームパーティの間どのように犬を管理しているのか。

クレート・トレーニングは日本やアメリカほど一般的ではない。そのためケージに犬を閉じ込める 人はあまりいない。もっとも動物保護法でケージ飼いをするのは禁止されている。犬は家の中を割合自由に歩き回っているものだ(ただし客室だけは入れないという工夫をすることもある)。しかしゲストが来ると、所定の場所に待機させるという方法を取る人が一番多いように思える。所定の場所というのは、普段でも「そこで落ち着きなさい!」に使っている部屋の一角だ。そこにはたいていフカフカとした犬用のマットレスかベッドが置かれている。玄関の隅は犬が監視をできる場所という意味でも、好まれる一角だ。

このようなお休みコーナーを家庭に設けるのは、飼い主の行くところ、行くところ、ずっとついてまわる犬への対処法としても有効だ。ストーカーのようにつきまとう犬は、たいてい分離不安症を持つ。そのため一所で落ち着く習慣を持たせるというのは非常に大事だ。

複数の犬を飼っている家庭では、パーティの間だけコンポストに使う柵を使いドアのところで仕切っておくのがよくあるパターンだ。そう、ドアは閉めない。そうすれば、犬達は、人間達が何をやっているか、一応様子を眺めることができ安心をする。

我が家の例をあげれば(単頭飼いだ)、パーティが始まった頃では部屋の隅に待機してもらうものの、そのうち 集まりへの参加を許可している(犬を怖がる人 、犬に慣れない幼児がいる場合は別だ)。犬をホームパーティの渦中に参加させるにあたって大事なのは、テーブルの周りを徘徊してお客さんに「食べ物をくれくれ」とせがむような癖を持っていないこと!これは日常のトレーニングで培われたい。コツは、家族が食事している間、 欲しそうに側にやってきても絶対に 食べ物は与えない、を徹底させることだ。テーブルの下で伏せをしてリラックスしている動作を見せていれば、残り物のおかずを与えるのは一向に構わないだろう。犬は

「せがむよりも、床でおとなしく横になっている方が分け前をもらえやすい!」

と学習をする。こうすれば、犬も参加しながらも、ハーモニックに皆で食事をすることができる。

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8月では北欧の独特の伝統であるザリガニパーティもある。これも、外にテーブルを出して皆でお祝いする。この時、犬がうっかりザリガニの殻を食べてお腹を壊すというのはよくあること。飼い主は、ゲストに「殻をその辺に転がしておかないよう!」と注意をする。

 

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2016.08.23

ABOUTこの記事をかいた人

藤田りか子

ドッグ・ジャーナリスト。スウェーデン・ヴェルムランド県の森の奥、一軒家にて、カーリーコーテッド・レトリーバーのラッコと住む。人生のほぼ半分スウェーデン暮らし。アメリカ・オレゴン州立大学野生動物学科を経て、スウェーデン農業大学野生動物管理学科にて修士号を得る。 著者に「最新世界の犬種図鑑(誠文堂新光社刊)」など多数。新しい犬雑誌「Terra Canina(テラカニーナ)」編集及び執筆者